2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13771327
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 求 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (20243264)
|
Keywords | 多段階促進触媒 / β-シアノヒドリン / ジルコニウムアルコキシド / ジオール / 立体選択的反応 / 立体特異的反応 / エポキシ化 / エポキシド開環 |
Research Abstract |
オレフィンからの触媒的酸化的トランスβ-シアノヒドリン合成を促進する触媒の創製をめざし、ビストリメチルシリルパーオキシド(BTSP)とTMSCNの存在下様々なLewis酸金属の検討をおこなったところ、ジルコニウムアルコキシドの触媒により目的とする反応が進行することを見い出した。次に配位子による反応加速効果を系統的に調べた結果、ジルコニウムに共有結合を形成する立体的に込み合ったジオールが優れた加速効果を発現し、特に1,1,4,4-テトラフェニルブタン-1,4-ジオールを用い,さらにジルコニウムに配位するトリフェニルホスフィンオキシドを添加したときに、合成的に有用な反応性を実現することができた。本反応は中員環のオレフィンからも目的物を高収率で与え、また立体選択性、立体特異性も高いことが分かった。特にテトラヒドロピランを用いた場合にも立体特異的に反応が進行することから、本反応は将来的には糖のCグリコシル化反応への展開が期待できる。さらに位置選択性においては3置換オレフィンでは部低い選択性を示したものの、末端オレフィン、および非対称オレフィンにおいては完全な選択性で進行した。本反応は、オレフィンのエポキシ化ステップと開環ステップの2段階からなる反応であり、最初のエポキシ化にはジルコニウム、BTSP,TMSCNが、また次のエポキシドの開環にはジルコニウムとTMSCNが必須であることが分かった。それぞれのステップに関する触媒の速度論的次数を反応速度測定により明らかにしたところ、第一ステップは一次、第二ステップは二次であることがわかった。これらの結果はジルコニウム触媒がワンポットで多段階を促進するために、その触媒機能を各ステップに応じて変化させていることを示している。予備的な結果であるが、TADDOL誘導体をキラル源に用いることで、シクロヘキセノンからワンポットでキラルβ-シアノヒドリンが得られることが明らかになった。
|
-
[Publications] S.Yamasaki, M.Kanai, M.Shibasaki: "Novel Multiaction of Zr Catalyst : One-Pot Synthesis of β-Cyanohydrins from Olefins"J. Am. Chem. Soc.. 123. 1256-1257 (2001)
-
[Publications] S.Yamasaki, M.Kanai, M.Shibasaki: "Zirconium Alkoxides in Catalysis"Chem. Eur. J.. 7. 4066-4073 (2001)
-
[Publications] M.Shibasaki, M.Kanai: "Multifunctional Asymmetric Catalysis"Chem. Pharm. Bull.. 49. 511-524 (2001)
-
[Publications] M.Takamura, K.Funabashi, M.Kanai, M.Shibasaki: "Catalytic Enantioselective Reissert-Type Reaction : Development and Application to the Synthesis of a Potent NMDA Receptor Antagonist (-)-L-689,560 Using a Solid-Supported Catalyst"J. Am. Chem. Soc.. 123. 6801-6808 (2001)
-
[Publications] M.Kanai, Y.Hamashima, M.Takamura, M.Shibasaki: "Development and Application of Enantioselective Lewis Acid-Lewis Base Bifunctional Catalyst"Journal of Synthetic Organic Chemistry, Japan. 59. 767-778 (2001)
-
[Publications] K.Yabu, S.Masumoto, S.Yamasaki, Y.Hamashima, M. Kanai, W.Du, D.P.Curran, M. Shibasaki: "Switching Enantiofacial Selectivities Using One Chiral Source : Catalytic Enantioselective Synthesis of the Key Intermediate for (20S)-Camptothecin Family by (S)-Selective Cyanosilylation of Ketones"J. Am. Chem. Soc.. 123. 9908-9909 (2001)