2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血によるニューロン死惹起機構に関わる新規因子の探索・同定
Project/Area Number |
13771364
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上原 孝 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (00261321)
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Keywords | ニューロン / アポトーシス / PI 4-キナーゼ / 脳虚血 / ラット / ラット / ディファレンシャル・ディスプレイ法 |
Research Abstract |
ラットに四血管閉塞/再灌流を行い,一過性前脳虚血モデルを作成して,脳虚血に伴って発現量の変化する遺伝子をディファレンシャル・ディスプレイ法を用いて単離することを試み,減少する遺伝子としてphosphatidylinositol 4-kinase (PI 4-K)の同定に成功した.PI 4-Kの発現の変化を詳細に検討したところ,PI 4-K蛋白質は海馬ニューロンに多く発現していること,また,虚血に伴って細胞死が起こるCA1領域においては,細胞死が観察される前に先んじて減少することがわかった.さらに,ノーザンブロット解析から,PI 4-K mRNAは脳虚血1日後から有意に減少することが明かとなった.また,細胞死が起こらない海馬CA3ならびに歯状回において,PI 4-Kの変化は認められなかった.また,培養神経芽細胞腫に低酸素ストレスを負荷するとアポトーシス様の細胞死が観察されるが,その際にもPI 4-Kの著明な減少が認められた.さらに,PI 4-Kの過剰発現は有意に低酸素による細胞死を抑制したこと,キナーゼ活性を有しない優性抑制変異型PI 4-Kには細胞死抑制効果はないことから,PI 4-Kの酵素活性が重要であることが示唆された.低酸素ストレスによって細胞は死から免れるために,細胞死抑制シグナルであるAktを活性化させる.PI 4KはAktの活性化を増強・維持することがわかった.したがって,PI 4Kの脳虚血/低酸素による減少は細胞死抑制シグナルを減弱させ,その結果,ニューロン死が惹起する可能性が推定された.
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Research Products
(1 results)