2001 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド前駆体蛋白(APP)の変異特異的に分泌される新規sAPPCの機能解析(アルツハイマー病発症との因果関係に焦点を当てて)
Project/Area Number |
13771399
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
城谷 圭朗 理化学研究所, 神経蛋白制御研究チーム, 基礎科学特別研究員 (20322696)
|
Keywords | アルツハイマー病 / アミロイド前駆体蛋白 / 老化 |
Research Abstract |
新規分子sAPPC(アミロイド前駆体蛋白のC末部を含む分泌型)の機能を神経細胞で解析するため、常法に従いマウス大脳皮質の初代神経細胞培養法を確立した。神経細胞特異的なMAP2抗体とアストロサイト特異的なGFAP抗体を用いた免疫細胞染色の結果95%以上が神経細胞であったことから本実験の用途に適していると判断した。そこで293細胞由来のsAPPCを含む未精製の培養上清を1/2、1/4、1/8に希釈してマウス初代神経細胞に添加後、細胞の経過観察を行った。しかしながらsAPPCを含まない対照の293細胞培養上清を添加した神経細胞でも1日後に細胞死が観察された。これより293細胞の培養上清中には神経細胞毒性を持つ因子が存在し、sAPPCの機能を調べるにはsAPPCを精製しなければならないことがわかった。精製を行うためにはヘパリンカラムが有効であることがわかっているが、ヘパリンカラムだけではsAPPαやsAPPβも共精製されるのでsAPPCのみに反応する抗体すなわちAPPの細胞内部位を認識する抗体を作成した。その結果アフィニテイー精製に使用できる抗体価の高い抗体が得られた。 一方、これまでにsAPPCはスウエーデン型変異を持つAPPを安定に発現する293細胞が分泌し野生型APPからは分泌されないことを示したが、アルツハイマー病の他の変異についてもsAPPCが分泌されるかを調べた。まずロンドン型とオランダ型変異を持つAPPを安定に発現する293細胞を得た。そしてその培養上清のヘパリン沈降物をAPPのC末部の抗体でウエスタンブロットしたところ、ロンドン型とオランダ型変異からはsAPPCが分泌されないことがわかった。よってsAPPCの分泌はアルツハイマー病で見つかっている全てのAPP変異に共通の現象ではないことがわかった。
|