2001 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴミエリン特異的プローブを用いたラフト制御機構の解析
Project/Area Number |
13771400
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
長谷川 顕子 (山路 顕子) 理化学研究所, スフィンゴ脂質機能研究チーム, 基礎科学特別研究員 (20332314)
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Keywords | スフィンゴミエリン / ラフト / ライセニン / 毒素 |
Research Abstract |
スフィンゴミエリンは哺乳動物細胞の主要構成脂質で、糖脂質やコレステロールなどとともにラフトと呼ぱれるマイクロドメインを形成していると考えられている。ラフトは細胞内情報伝達・細胞内小胞輸送・細胞接着・細胞の極性形成など、様々な細胞機能に関与していることが示唆されている。最近ではスフィンゴミエリンがラフトの形成に必須であることが報告されている。本研究で私はスフィンゴミエリンの細胞内動態や分子間相互作用を解析することにより、ラフトの生理機能を分子レペルで明らかにしようと考えている。 ライセニンはシマミミズ体腔液から単離された分子量41kDaの新規蛋白質である。これまでに私は、ライセニンがスフィンゴミエリンに特異的に結合し膜崩壊を引き起こすこと、ライセニンが細胞内のスフィンゴミエリンを特異的に検出するのに有用なプローブとなることを明らかにしてきた。本年度はライセニンとスフィンゴミエリンの結合様式について詳細に解析した。ヒツジ赤血球にライセニンを加えると赤血球膜に突起構造が観察され、そこには小孔が多く集まっていた。溶血実験よりこの小孔のポアサイズは3nm程度であることが明らかとなった。次に人工膜を用いてこの小孔の更なる解析を行った。スフィンゴミエリンを含む人工膜をライセニンとインキュベーションすると、径10-12nmのハチの巣構造が観察された。コントロールとして用いたホスファチジルコリンの人工膜ではこのような構造は全く観察されなかった。生化学的解析により、ライセニンはスフィンゴミエリン膜中で立体構造変化を起こし、不可逆的な会合体を形成することが明らかとなった。抗ペプチド抗体を用いた実験から、ライセニンは会合体中でC末端領域を外側に、N末端領域を内側にして存在していると予測される。また、スフィンゴミエリンはライセニンの会合体形成には必須であるがその維持には必要ではないことも明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 山路顕子: "スフィンゴ脂質ラフトの構造と機能"化学と生物. 39(5). 301-308 (2001)
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[Publications] 山路-長谷川顕子, 小林俊秀: "スフィンゴミエリンを認識する蛋白質群"蛋白質核酸酵素 増刊号. 47(4)(予定). (2002)