2001 Fiscal Year Annual Research Report
シンドビスウィルスのRNA複製における宿主細胞膜ホスファチジルセリンの機能
Project/Area Number |
13771402
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
齋藤 恭子 国立感染症研究所, 細胞化学部, 研究員 (70235034)
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Keywords | シンドビスウィルス / ホスファチジルセリン / RNA複製 / 細胞膜 |
Research Abstract |
本研究は、CHO細胞のホスファチジルセリン(以下、PS)合成欠損変異株を利用して、アルファウィルス一種、シンドビスウィルス(以下、SIN)のRNA合成におけるPSの役割についての手がかりを得ることを目的としている。市販のSINベクターはSINレプリカーゼ遺伝子を利用して、挿入遺伝子を発現させる系である。SINベクターにlacZ遺伝子を挿入したものをPS合成欠損変異株PSA-3に導入し、SINレプリカーゼの活性をβガラクトシダーゼ活性をレポーターとして測定した。PSとホスファチジルエタノールアミン(PE)の含量が低下する条件(PS無添加培地)で培養したPSA-3株に発現したβガラクトシダーゼ活性は、正常なリン脂質組成を示す条件(PS添加培地)で培養した同変異株の酵素活性の約1/3に低下していた。従って、SINレプリカーゼの活性にPSまたはPEが重要であることが示唆された。現在、PS含量のみを減少させることができる別の変異株を使って同様の実験を行い、PSの電要性を明確にすることを行っている。 ところで、アルファウィルスレプリカーゼはnsP1から4の4種の蛋白質から成り、細胞内の膜にnsP1(mRNAキャッピング酵素)を介して結合することが示唆されている。近年、SIN近縁種のnsP1がPSと結合し、活性化されることが報告された。そこで、PS無添加及び添加条作下のPSA-3株におけるSINnsP1と膜との結合を抗nsP1抗体を作成して調べたところ、いずれの条件でもnsP1は主に15000xg沈澱膜画分に存在しており、分布に差は認められなかった。従って、PSA-3株において認められたレプリカーゼ活性の低下は、nsP1の膜分布が変化したためではないと考えられた。
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