2001 Fiscal Year Annual Research Report
甘草成分グリチルリチンによるFas介在アポトーシス増強機構の解明
Project/Area Number |
13771408
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石渡 俊二 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (20301054)
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Keywords | グリチルリチン / アポトーシス / Fas / 白血病細胞 / 増強機構 |
Research Abstract |
甘草の成分であるグリチルリチン(GL)は、抗ウイルス作用や抗アレルギー作用を有することが知られている。一方、Fasを介するアポトーシスのシグナル伝達系は、免疫細胞による自己反応性リンパ球の除去やがん細胞の除去に関与することが報告されている。申請者は、GLが単独では白血病細胞株Jurkatに影響を与えないが、Fasを介して刺激されたJurkatのアポトーシス感受性を増強することを初めて報告した。そこで、GLによるFas介在アポトーシスの増強機構を検討した。 まず、GLにより感受性が増強されるアポトーシス刺激について検討した。6Fasと、同様にTNFレセプターファミリーに属するTNFによって誘導された白血病細胞株のアポトーシスは、GLによって増強された。しかし、マイトマイシンによって誘導された白血病細胞株のアポトーシスはGLによって影響を受けなかった。同様に、デキサメタゾンで誘導された胸腺細胞のアポトーシスもGLにより影響を受けなかった。GLによるアポトーシス増強はTNFレセプターファミリーを介する際に起こり、その他のアポトーシス刺激では起こらないことが示唆きれた。また、胸腺細胞のFas介在アポトーシスは、GLによって抑制される傾向にあった。一方、GLは肝細胞株のアポトーシスには影響を与えなかった。これらのことから、GLの効果は、同じFas介在アポトーシスであっても細胞の種類により異なることが明らかになった。Fas介在アポトーシスを修飾する低分子に関する報告は乏しく、その機構は現在まで不明である。GLは親水性の部位を持ち、単純拡散により細胞内に浸透することは考えにくいため、GLは細胞膜成分と相互作用することが考えられる。
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