2001 Fiscal Year Annual Research Report
放射能の核移行を目的としたタンパク質標識試薬の開発
Project/Area Number |
13771409
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上原 知也 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (10323403)
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Keywords | 内用放射線治療 / 核移行性 / 代謝 / 放射性医薬品 |
Research Abstract |
本年度は,核移行性を目的とするタンパク質標識試薬の開発にあたり,まず始めに放射性ヨウ素導入部位として導入する人工アミノ酸である, 3-iodo-alpha-methyl-L-tyrosine(IMT)による細胞内の滞留部位の検討を行った.C-10 glioma細胞を用いた細胞内分画では約70%が細胞質に未変化体のまま存在した.従って,生体内に投与した時,生体内代謝によりIMTが遊離した場合には細胞の核には行かず,細胞質に存在するものと考えられ,標識試薬としてのペプチドの生体内安定性が重要であると考えられた.最近の報告より,D体の塩基性アミノ酸を8残基繋げることにより,細胞の核へ集積することが明らかとなった.従って,生体内代謝に安定なD体のアミノ酸を用いたペプチドの設計を考えた.また,塩基性アミノ酸による核移行性ペプチドをそのまま抗体などに繋げると,このペプチドの作用により非特異的な細胞浸潤を起こすことが考えられる.そこで,ペプチド全体の塩基性を減弱させるために酸性アミノ酸を繋げることにより非特異的な細胞浸潤を抑え,細胞に取り込まれた後,細胞内代謝により塩基性アミノ酸配列のみを遊離するペプチドの設計を行った.これにより細胞外では母体蛋白質の動態を,細胞内では核移行性ペプチドの動態を持つ試薬が出来ると考えた.塩基性アミノ酸としてD体のアルギニンを8残基用い,酸性アミノ酸としてスルホン化チロシンを4残基加えた核移行性ペプチドの合成を行い,細胞による取込みを検討した.しかしながら,このペプチドのみでも細胞への取り込みを示し,酸性アミノ酸の不足が考えられた.今後,酸性アミノ酸の数を増やしたペプチドの合成を行うなど,更なる検討を行う予定である.
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