2001 Fiscal Year Annual Research Report
マネージドケアに対する我が国の患者、医療従事者の意識に関する調査研究
Project/Area Number |
13771431
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
宮川 路子 法政大学, 人間環境学部, 助教授 (30276216)
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Keywords | マネージドケア / 医療監査機構 / かかりつけ医 / クリニカルパスウェー / HMO / プライマリーケア / ケースマネージャー / 事前審査 |
Research Abstract |
初年度は国内の大学生約300名を対象にマネージドケアと日本の医療政策に関するアンケート調査を書面で行った。回答者のほとんどが日本の急速な高齢化を認識し、約3割が国民医療費総額が30兆円に及んでいることを認知していた。また、今回の回答者が若年のためか多くが「かかりつけ医」を持っておらず、大病院志向が強かった。昨今の医療事故報道が原因で、大病院志向に拍車がかかっている傾向がみられた。また、特定機能病院を紹介状なしで受診した場合、5,000円近く追加負担を強いられても特定機能病院(いわゆる大病院)受診を求める回答者が多かった。特に目を引いたのは、現行の制度をより厳しくして紹介状なしでは、いくら差額を払っても特定機能病院を受診できなくする新制度を設立することに対して、ほぼ全員が否定したことである。その理由として、患者による病院の自由な選択権が挙げられた。これはマネージドケアが広く普及した米国でも同様に見られる世論の反応であり、かかりつけ医を通さずとも、必要に応じて患者が自分の判断で専門医を受診できる「患者の権利」を保護することが、我が国にマネージドケアを導入するにあたり必要であることを強く示唆する。 また、我が国では公的な国民皆保険制度により国民全体の健康が保たれてきた。しかしながら急速な高齢化の進行により保険制度としてほころびがでてきている。同アンケート調査の結果として、約5割がすべて民間への移行が可能と回答し、約3割が現状の公的保険制度を維持すべきと回答し、残りの約2割が高齢者、貧困者、障害者のみを公的保険制度の対象者とすべきと回答した。米国のマネージドケアに関しては、本年度は文献、インターネットをもとに情報を収集し、事前審査、かかりつけ医、クリニカルパスウェー運用の実態について現在調査中である。
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