2001 Fiscal Year Annual Research Report
血清中の細胞増殖因子を指標とした抗腫瘍薬の至適投薬タイミング設定
Project/Area Number |
13771448
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
小柳 悟 福岡大学, 薬学部, 助手 (60330932)
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Keywords | がん治療 / 時間薬物療法 / サーカディアンリズム |
Research Abstract |
本研究は、実験モデル動物(マウス)を対象に抗腫瘍薬の至適投薬タイミングの設定のための血清中因子を同定することを目的しており、現在までに数種類の増殖因子が血清中での発現に日周リズムを示すことを明らかにした。また、これら因子の中には腫瘍による血管新生過程にも深く関与するものも含まれているとの所見を得たことから、これら日周リズムを示す増殖因子の中には腫瘍細胞に対して直接的な増殖促進作用を示すもののみならず、周辺組織に対し腫瘍の増殖を助長するような働きを担っている因子も含まれている可能性が示唆された。 これまでに同定した因子のひとつとして、Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF)は血清中および腫瘍組織内において明瞭な日周リズムを示した。腫瘍はその増殖に際し、自らの成長に必要な酸素や栄養素を獲得するため周辺組織に様々な因子を放出して新たな血管を形成する。この過程においてVEGFは、血管透過性の亢進および内皮細胞の増殖を強力に促進する因子として、腫瘍血管新生の中心的な役割を担っている。また、血管新生阻害薬はがん細胞による血管の新生を阻害し、がん細胞をいわば「兵糧攻め」にすることによって抗腫瘍効果を発揮する。 そこで、血清中VEGF量の日周リズムを指標に血管新生阻害薬の抗腫瘍効果に及ぼす投与タイミングについて検討を行ったところ、血清中でのVEGF発現量が増大する時間帯において、血管新生阻害薬はより高い腫瘍増殖抑制効果を示すことが明らかになった(現在投稿中)。今後、実際の患者における血清中VEGF量の日周リズム等に関する検討が必要ではあるが、これまでに得られた成果は、抗腫瘍薬の時間薬物療法の実用化へ向けた基盤を成すものと考える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Ohdo, S.Koyanagi, H.Suyama, S.Higuchi, H.Aramaki: "Changing the dosing schedule minimizes the disruptive effects of interferon on clock function"Nature Medicine. Vol.7(3). 356-360 (2001)
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[Publications] De-Sheng Wang, S.Ohdo, S.Koyanagi, H.Yakane, H.Aramaki: "Effects of dosing schedule on pharmacokinetics of alpha interferon and anti-alpha interferon neutralizing antibody in mice"Animicrobial Agents and Chemotherapy. Vol.45(1). 176-180 (2001)
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[Publications] H.Takane, S.Ohda, T.Yamada, S.Koyanagi, E.Yukawa, S.Higuchi: "Relationship between diurnal rhythm of cell cycle and interferon receptor expression in implanted-tumor cells"Life Science. Vol.68. 1449-1455 (2001)