2002 Fiscal Year Annual Research Report
病名告知を受けた癌患者の心理的サポートを基盤づける自己効力感の縦断的調査研究
Project/Area Number |
13771476
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中島 紀子 愛媛大学, 医学部, 助手 (20325377)
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Keywords | 癌 / 告知 / QOL / 自己効力感 |
Research Abstract |
【目的】 本研究は、告知後癌患者の生活について自己効力感理論を用いて分析し、在宅における癌患者の心身の状態を縦断的に測定し探求することで、告知後癌患者のQOLの向上につなげることを目的とする。 【研究方法】 調査対象者は主治医より告知を受けている癌患者で、同意を得られた44名である。調査時期は、退院前、退院後1ヶ月、退院後2ヶ月の3回である。しかし、再入院や状態悪化、死亡のため継続して調査可能だったのは、退院後1ヶ月が19名、退院後2ヶ月が11名であった。調査方法は質問紙を用いた半構成インタビューで、調査内容は対象の背景、病態、生活状況、心理的状態についてである。ただし、心理的状態については独自に作成した癌患者用自己効力感尺度を使用した。癌患者用自己効力感尺度は58項目の質問から構成されており、α係数は0.9186で信頼性が確認されている。調査の実施時には、対象者に研究目的の周知、プライバシーの保護、研究参加への同意の自由性を十分説明した上で調査の同意を得た。 【結果】 対象者の性別は男性27名、女性17名である。男性と女性を比較すると、男性の退院前の自己効力感得点が高いものの、有意な差は見られなかった。年齢別に比較すると40歳代7名、50歳代5名、60歳代11名、70歳代16名、80歳以上5名であり、自己効力感得点の平均は40歳代が171.14点、60歳代が173.73点、70歳代が151.50点で、70歳代に比べ40歳代、60歳代は有意に自己効力感得点が高くなっていた。ADLに関しては、自分で身の回りのことができる人の自己効力感平均得点が167.82点で、できない人の143.30点に比べ有意に自己効力感得点が高かった。痛みの有無では有意な差は見られなかった。自己効力感得点を退院前、退院後1か月、退院後2ヶ月で比較すると、それぞれの自己効力感得点の平均は、退院前162.25点、退院後1ヶ月166.84点、退院後2ヶ月184.27点と徐々に自己効力感得点が高くなっており、それぞれ有意な差が見られた。 【考察】 告知後癌患者の自己効力感は、退院前に比べ退院後1ヶ月、退院後2ヶ月と徐々に高くなっていることが確認された。今後は自己効力感を高めている要因の更なる探求と関連について検討していく必要がある。
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