2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13771484
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Research Institution | College of Nursing Art and Science, Hyogo |
Principal Investigator |
増野 園惠 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (10316052)
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Keywords | リスクマネジメント / リスク認知 / 看護職 / 潜在的な危険 |
Research Abstract |
本研究の目的は、看護職が日常の看護実践の中で認知しているリスク(潜在的な危険)を明らかにし、看護職の年齢や経験年数などによる認知の違いを検討することである。この目的のもと、平成13年度には、文献検討や医療機関でのリスクマネジメントに関する取り組みについてヒアリングを実施した。その結果、これまで看護職のリスク認知に関しては十分な検討が行われていないものの、看護職のリスク認知を高めていくことが急務であると実践および教育の現場で広く認知されていることがわかった。 平成14年度は、看護職が実践の中でどのような事柄をリスクと捉えているか、また、その認識にはどのような要素が関係しているのかを明らかにするべく、看護職を対象にフォーカスグループインタビューを実施した。フォーカスグループインタビューは、4グループ計18名の看護職を対象に実施した。 看護職の捉える看護実践におけるリスクは、『仕事環境の変化とその影響』『職場風土・人間関係』『組織体制・システム上の不備』『物理的構造上の問題』『看護管理に関する問題』『看護職の個人的要因』の6つに大別された。中でも特に強調されたのは、看護職の仕事環境の変化により、看護実践の中で培われてきた知識や技術が伝承されにくくなっていることによるリスクであった。経験者の持つ実践知が共有されないために、看護職の臨床判断力や実践技術の育成が十分になされず、事故発生につながっているというのである。このことはこれまでほとんど認識されておらず、今後のリスクマネジメントの取り組みにおいては重要な視点であると考えられる。 看護職は実践上の様々な事柄をリスク要因と捉えていることがわかった。看護職のリスク認知は一様ではない。次の段階では、看護職のリスク認知の違いに影響を及ぼす要因の探究を行い、リスク認知を高める方策を検討することが必要である。
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