2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13771485
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | College of Nursing Art and Science, Hyogo |
Principal Investigator |
大金 ひろみ 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (60305696)
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Keywords | 介護-在宅 / 介護経験 / デンマーク / 介護者 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究は、家族介護者が自らの介護経験をどのように位置づけ、在宅療養を維持しているのか/しようとしているのか、またその変容過程から、在宅療養における家族介護者の介護経験がもつ意味を明らかにすることを目的としている。 本年度は、デンマークにおける在宅ケアサービスを利用する高齢者夫婦の生活がどのようなものであり、その生活を高齢者自身がどのようにとらえているか、日本における家族介護との差異はどこにあるかに着目した。ユトランド半島南西部の高齢者夫婦3組から自宅で生活する高齢者の老年期の姿や介護に対する考えなどを聴取した。デンマークの高齢者の生活に焦点をあてたのは、福祉先進国といわれるデンマークの高齢者の生活や在宅ケアサービスに対するとらえ方/考え方を検討することで、日本における家族介護の状況や家族介護者の介護経験の意味を探究するための示唆を得ることができるのではないかと考えたからである。 その結果、以下のような高齢者夫婦3組の共通性を見いだすことができた。高齢者夫婦は主体的に「老いを生きる場を構築」し、「一定の生活パターン」をもって日々を過ごしており、今の生活に対して高い満足感を持っている。また、以前の職業や家庭での役割などによって、趣味や社会活動への関心の向け方に「性差」があること、今の「いい生活」を続けるには「元気/健康であること」が重要であり、それによって「自立」して生きることができると考えている。在宅ケアサービスや地域での様々な高齢者向けプログラムなどの「社会的な支援」と「家族・友人の支援」が高齢者夫婦を支えている。このような共通性以外に、「家族介護」とでもいうべき要素が抽出された。子どもが老親の面倒をみることを当然とする考え方があること、長期にわたって要介護状態にある配偶者との生活が「介護者」意識を芽生えさせていることも明らかとなった。
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