2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13771485
|
Research Institution | College of Nursing Art and Science, Hyogo |
Principal Investigator |
大金 ひろみ 兵庫県立看護大学, 看護学部, 助手 (60305696)
|
Keywords | 介護-在宅 / 介護経験 / 介護者 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究は、家族介護者が自らの介護経験をどのように位置づけ、在宅療養を維持しているのか、あるいは維持しようとしているのか、またその変容過程から、在宅療養における家族介護者の介護経験がもつ意味を明らかにすることを目的としている。 在宅療養開始後1年以内の家族介護者4名と5年以上の家族介護者5名から、介護経験と日常生活の過ごし方について聞き取り、1年後に同じ介護者から同様の聞き取りを行った。2年間の介護経験と過ごし方についての家族介護者の語りにはそれぞれの生活が反映され、生き生きとした固有の物語が編み出されていた。 在宅療養開始後1年以内では、どの家族介護者からも、家族が要介護状態になったとき、「自宅での世話を覚悟」し、そのために「さしあたり必要な介護技術を習得」をして在宅療養へ移行したことが語られた。「不安との隣り合わせから介護をする生活が日常化」し、在宅療養開始後の「気負いから解放されていく」一方で、「在宅療養の継続を願いながら、体力面での限界を感じる」ようになり、在宅療養以外の介護を選択する段階にあると考える家族介護者もいた。 在宅療養開始後5年以上では、「それぞれの家族介護者が様々な介護経験を通して、固有の生活・介護観を確立」しており、自らの実践から介護の意味を発展させていた。「介護のしんどさの中に、他では得られない体験」をすることができ、「介護をしているという事実が自分を支えている」とも捉えられ、家族介護者のアイデンティティ形成に大きな影響を及ぼしていたこともわかった。また、自宅での生活ゆえ、介護が「家族によらなければならない面を内包」していると捉える家族介護者もあり、選択可能な多様な在宅ケアサービス提供の必要性が示唆された。
|