2001 Fiscal Year Annual Research Report
離島・過疎地域における高齢者の生活支援に関する研究―沖縄県波照間島の新設「老人共同生活施設」の活用―
Project/Area Number |
13771489
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Okinawa Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
佐久川 政吉 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助手 (80326503)
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Keywords | 高齢者 / 老人共同生活施設 / 離島 / 生活支援 / 介護予防 / 介護保険 / 多機能 |
Research Abstract |
全高齢者(214人)を対象とした「老人共同生活施設(すむづれの家)の活用に関する調査」の結果(回答率81.3%)、希望するサービスとして、デイサービス、配食サービス、移送サービス、入所サービス、入浴サービスの順に多かった。施設は平成13年4月に入居定員5人で開設したが、運営・管理等の面ですぐに活用することができず、島民代表や町担当者等で構成するワーキンググループで検討した結果、一番希望の多かった「生きがい活動支援通所事業(ミニデイ)」が、8月に町よりボランティア等が集まって設立された団体に委託された。ミニデイの1日平均の利用者は10人前後で、内容は、健康チェック、唄、踊り、料理、習字、ドライブ、小・中学生との交流等である。利用者からは「すむづれの家に行くようになってから1日の計画を有意義に過ごしたいという気持ちで身も心も張り切り、少しの体の不調も気にしなくなり、人間の心と気力はこんなにも変わるものかと、すむづれの家のありがたさに感謝しています」等の声が聞かれる。 老人共同生活施設の本来の目的である自立した高齢者の入所サービスについては、島内の高齢者からは申請が出されておらず、入居した実績はない。しかし、一時的に活用した例がある。これは介護が必要になったため島を離れて島外の介護老人福祉施設に入所中の要介護者5名が、島の最大の行事である旧盆に2泊3日で帰省した際、一時的に宿泊場所として利用した例である。バリアフリーの建物がない島に、ベッドがありバリアフリー化された施設が出来たため、宿泊が可能になり、要介護者でも数年ぶりに島に帰ることが可能になった。 都会とは異なり、介護保険や福祉等の拠点施設がない離島・過疎地域では、要介護者も自立した高齢者と一緒に老人共同生活施設のミニデイ等のサービスを利用しているのが現状である。老人共同生活施設には、介護予防・生活支援事業だけでなく、介護保険のサービスも視野に入れた地域密着型の小規模・多機能な機能が求められている。
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