2001 Fiscal Year Annual Research Report
思春期1型糖尿病患者のサマーキャンプによる患者教育の効果に関する検討
Project/Area Number |
13771519
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
西田 佳世 高知医科大学, 医学部, 助手 (60325412)
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Keywords | 1型糖尿病 / サマーキャンプ / 療養行動 / 思春期 |
Research Abstract |
今年度は、高知県内の思春期の1型糖尿病患者を対象に、日常生活における療養行動についての実態とソーシャルサポート、自己効力感の関係を自記式質問紙にてサマーキャンプ前に調査した。対象患者21名中10名から回答が得られ、内キャンプ参加者8名からは全員の回答を得た。それぞれの療養行動得点、自己効力感得点の相関から、以下の関係が明らかになった。食事・運動・インスリン療法ができていることと、望ましい療養行動には正の相関があった(γ=0.83、γ=0.71、γ=0.80)。食事療法ができれば、インスリン注射の打ち忘れが少なく(γ=0.70)、毎日の生活も前向きで(γ=0.70)、両親や家族の理解があると感じていた(γ=0.71)。自己効力感が強いほど全体の療養行動は良好であり(γ=0.63)、両親や家族の理解があると自覚し(γ=0.69)、低血糖への対処もできていた(γ=0.74)。日常生活における情緒的・手段的サポートは、ほぼ全項目において、家族がサポート源であった。ほとんどの患者は糖尿病であることを知られたくないと思っており、手段的なサポートに友人をあげるものは少なかった。学校での補食や注射の際、友人の目を気にしており、昼の注射の中断、低血糖時の我慢が多く見られた。キャンプ参加者には、キャンプ後、同じ内容の調査を行い、キャンプ前後の変化を比較したが、本年度のキャンプでは、特別な教育は企画せず実施したため、キャンプ前後の有意な差はなかった。 今回の調査では、友人関係を保ちながらの療養行動が困難であること、望ましい療養行動には、家族の支援が必要であること、食事に伴う血糖推移にあわせたインスリン療法の習熟が望ましい療養行動に関係すること、また自己効力感を高めるような介入が必要であることが示唆された。これらの内容を次回のキャンプで強化し、療養行動の変化を量的および質的に検討する予定である。
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