2002 Fiscal Year Annual Research Report
認知障害を有する脳血管障害患者の他疾患合併時における看護アセスメントの検討
Project/Area Number |
13771525
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
丹下 幸子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助手 (50315686)
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Keywords | 状況論的アプローチ / 相互作用 / インスクリプション / 道具 / 情報の可視化 |
Research Abstract |
認知科学的なアプローチからアセスメントを適切に行うための方法を検討しようと試みた。しかし、実際の看護場面では、ミラーらのプラン・モデルのように行為を実行する際に自分の立てた計画通りに行うことは難しく、知識表象が、ある行為をコントロールしているということは言いがたい。看護は患者-看護師、他の医療スタッフやその他のリソースの相互作用によって状況的に行われているものであるといえる。先行研究から、認知障害があり、訴えを適切に表現できない患者であっても、何らかの訴えや行動の変化はみられ、異常に気づき、治療に結びつき適切な治療が受けられている患者も報告されている。このため状況論的アプローチからアセスメントを適切に行うための方法について検討した。 看護における行為は、相互作用であり、状況的であることから、スタッフ間をつなげるためのインスクリプション(図、文書、表など)がある。これは、看護基準、病棟日誌、看護記録、体温表、指示表、カルテ、処方箋、水分出納表などがあげられる。その他のツールとしては、申し送り、看護師間の情報交換、患者-看護師間の会話、患者の様子、血圧計、聴診器、体温計等の使用等が上げられる。そして、これらの道具を複数用いて、患者の異常を可視化する。患者の状態を可視化することについては、認知科学アプローチではエキスパートの知識がどのように組織化され構造化されているかを把握することであきらかにしようとする。今回の状況論的アプローチにおいては、知識表象は、相互行為や道具の使用に組み込まれていると考えると上田はいう。疾患を合併し疼痛があっても十分に痛みとして訴えられないような患者の出現においては、その現場がどのような状況であったのか、インスプリクションがどのように利用されているのかを明らかにしていくことになる。脳血管障害があり訴えの少ない患者の異常を発見するためのアセスメントを適切に行うためには、そのような患者の状況を事例検討することや、その時のスタッフの動きや会話の分析し、情報がどのように可視化されているかを明らかにしていくことが必要と考えられる。
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