2001 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋の酸素運搬と利用における骨格筋ミオグロビンの役割
Project/Area Number |
13780009
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
増田 和実 筑波大学, 体育科学系, 助手 (50323283)
|
Keywords | 骨格筋 / ミオグロビン / 酸素摂取 / 血流 / 酸素運搬 / 近赤外線分光法 |
Research Abstract |
筋内の酸素運搬機序や、運動などを行った際に酸素運搬の規定要因が何処にあるのかについては、未だ不明確なままであり、それは骨格筋内のミオグロビンの生理的役割の不透明さに起因していると考えられる。本研究では、近赤外線分光法、ドップラー、NMRなどを用いて非侵襲的に人の運動中の酸素供給/運搬機序を探り、鍛錬度や運動トレーニングによって、骨格筋肉の酸素利用度(酸素動態)がどのように変化するのかっを明らかに使用とするものである。 平成13年度(1年目)では、高齢者におけるミオグロビン酸素の利用度、及びトレーニングを実施することによる筋酸素動態の変化について検討した。実験に際しての運動形態は足底屈運動であり、最大等尺性随意筋力に対する相対負荷(20〜70%MVCの5段階)を設定した。 まず、若齢者9名(平均22.8歳)と高齢者9名(平均66.2歳)を対象に、足底屈運動中の筋酸素動態(飽和度:SO2)について比較検討した。運動中の筋SO2は若齢者と高齢者でほぼ同様の変化を示した。さらに、その動態は、運動中のVO2(呼気により算出)と対応していた。したがって、筋のSO2はミトコンドリアのredox状態に応じて変動し、その変動には加齢の影響は少ないものと推測された。 次に高齢者男性(8名)を対象に体重負荷による運動プログラムを5回/週、27週間、実施し、運動トレーニングが筋のVO2や血流、筋組織のSO2の変化に及ぼす影響を検討した。運動トレーニングの結果、足底屈筋力は上昇したものの、全身性のVO2や換気性閾値(VT)は変化しなかった。また、足底屈運動中のVO2や血流、TOIの変動はトレーニング前と同様の傾向を示し、トレーニング前と統計的に有意な差は認められなかった。したがって将来的に、異なるトレーニング条件での検討の必要性が考えられた。 2年目では、ミトコンドリアの酸化還元能力を向上させる運動トレーニング(持久性トレーニング)の影響について検討を行う予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Masuda K., Shimojo H., Katsuta S.: "Level of myoglobin concentration in human vastus lateralis muscle:effect of training status"Adv Exerc Sports Physiol. 7巻. 47-51 (2001)
-
[Publications] Masuda K., Okazaki K., Kuno S., Asano K., Shimojo H., Katsuta S.: "Endurance training under 2500-m hypoxia does not increase myoglobin content in human skeletal muscle"Eur J Appl Physiol. 85巻. 486-490 (2001)
-
[Publications] Masuda K., Sugawara J., Tanabe K., Ishizuka M., Ajisaka R., Matsutda M., Kuno S.: "Changes in NIRS parameters and the muscle oxygenation in elder"Therapeutic Res. 22巻. 1981-1985 (2001)
-
[Publications] 増田和実, 田辺解, 菅原順, 鯵坂隆一, 松田光生, 久野譜也: "運動トレーニングが高齢者のVO_2、血流、筋組織酸素飽和度に及ぼす影響-SATプロジェクト34-(第9回日本運動生理学会大会)"Adv Exerc Sport Physiol. 7巻. 175 (2001)