2002 Fiscal Year Annual Research Report
成長期から成熟期にかけての身体活動レベルとラット骨格筋機能の関連性について
Project/Area Number |
13780032
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Research Institution | International Budo University |
Principal Investigator |
刈谷 文彦 国際武道大学, 体育学部, 講師 (60316817)
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Keywords | 自発運動 / 骨格筋 / ラット / 筋線維タイプ / ミオシン重鎖アイソフォーム |
Research Abstract |
本研究は成長期〜成熟期にかけての自発運動がラット骨格筋の形態・機能的特性に及ぼす影響について検討した。 4週齢のSD系雄ラットを1週間の予備飼育の後,15週齢まで10週間の自発運動実施群(15VA群)と35週齢まで30週間自発運動実施群(35VA群)及び,それぞれの週齢にマッチした安静群,計4群に無作為に分けた。それぞれの実験期間終了後,ラットを麻酔下で屠殺し,ヒラメ筋及び足底筋を摘出した。摘出筋の湿重量後,それらを直ちに-80℃のディープフリーザー内で保存した。その後,それぞれの筋で筋線維タイプ別の筋線維横断面積(CSA),ミオシン重鎖(MHC)アイソフォーム組成及びクエン酸合成酵素(CS)活性の測定を行った。 自発運動量の影響は,MHCアイソフォーム組成においては足底筋において顕著に認められた。Type IIB MHCの相対値は,同週齢のSC群に比べ15VA,35VA群とも有意に低下した。それに伴い15VA群ではType IIA MHCの相対値が,335VA群ではType IIX MHCの相対値が,同週齢のSC群に比べ有意に増加した。また,各MHCアイソフォームの相対値と自発運動量との関係を検討した結果から,1)低いレベルの活動量でも足底筋のType IIB MHC→Type IIX MHCへの移行は起こりやすい傾向にあること,2)Type IIX MHC→Type IIA MHCへの移行には,比較的高いレベルの活動量が必要になることが示唆された。CSAの有意な増加は35VA群の足底筋におけるType IIX, IIB線維のみで認められた。また,両自発運動群のCS活性は,足底筋,ヒラメ筋とも有意な増加は認められなかった。 これらの結果から,自発運動量に対する応答は骨格筋のそれぞれの機能及びラットの成熟過程によって異なることが示唆された。
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