2001 Fiscal Year Annual Research Report
マレーシア・サラワク州における民族再編と地域構造変化
Project/Area Number |
13780059
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
祖田 亮次 広島大学, 大学院・文学研究科, 助手 (30325138)
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Keywords | マレーシア / サラワク / 河川水系 / 地域構造変化 / 人口移動 / 民族再編 / 農村開発 |
Research Abstract |
本年度は,東南アジア地域における人口移動と民族問題についての資料収集を行うとともに,平成13年8月9日から9月5日まで,マレーシア・サラワク州において,現地調査を行った。 現地調査は,マレーシア最大の河川ラジャン川流域において,農村開発の進展状況と人口移動との関係について観察した。ラジャン川流域における顕著な変化としては,ダム建設に伴う道路交通網の充実が挙げられる。サラワク州では,内陸地域の交通手段は主に河川に頼ってきたが,上流地域と沿岸地方都市とを直接結ぶ道路の建設に伴い,人口移動のパターンに大きな変化が見られると同時に,ラジャン川流域に点在する各小都市の盛衰が明瞭に現れつつある。具体的には,(1)これまで出稼ぎ移動の主力だったイバン族に代わって,より上流地域の諸民族による都市-農村間移動が顕著になっていること,(2)それと同時に,木材景気の低迷も手伝って,内陸山間部での出稼ぎ労働が賃金の安いインドネシアからの不法就労者に取って代わられていること,(3)沿岸部の中心都市とダム建設現場の最上流部を除く中流域の小都市の多くが,物流中継地としての役割を低下させて衰退傾向にあること,などが観察された。 これらのことから,ラジャン水系全体における小都市間の序列に,大きな変化が生じつつあることが指摘できる。また,最も変化の激しい最上流部においては,ダム建設やプランテーション開発に伴い大規模な強制移住が行われていると同時に,隣国からの不法就労者の流入により,民族的なセグリゲーションが劇的に変化している。
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Research Products
(1 results)