2001 Fiscal Year Annual Research Report
デジタル・コンテンツ産業集積におけるテクノロジーとアートのマネジメントと知識創造
Project/Area Number |
13780061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
原 真志 香川大学, 経済学部, 助教授 (40281175)
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Keywords | 産業集積 / デジタル・コンテンツ / ハリウッド / 文化生産 / コンタクト・アナリシス / 参加観察 / VFX / コーディネーター |
Research Abstract |
ロサンゼルスのデジタル・コンテンツ産業集積を対象に、テクノロジーとアートという異質な知識を統合するマネジメントの存立基盤と集積内外における機能およびプロセスについて、コミュニケーションと知識創造の側面から明らかにするため、特に映画製作におけるビジュアル・エフェクト(VFX)を取り上げて、13年度においては以下のような調査・分析を行った。 第1に、組織内におけるコミュニケーションと知識創造を明らかにするため、ロサンゼルス立地のRhythm and Hues社を取り上げ、コンタクト・アナリシスを同社の従業員を対象に実施し、コミュニケーション・パターンの抽出を試みた。その結果、テクノロジー、アート、マネジメントという異なる専門スタッフの間では、特にテクノロジーとアートの間で頻繁な対面コミュニケーションがなされていること、マネジメントスタッフは、電話を多用して多くのコミュニケーションを図っていること、対面コミュニケーションが重要だが、E-mailも多くの人々をカバーするのに用いられていること等が確認された。 第2に、同様の分析を組織間関係にも応用し、プロジェクト単位で企業や個人が柔軟に連携するのをコーディネートするVFXスーパーバイザーに焦点をあげ、参加観察法を適用してポストプロダクション段階におけるKevin Tod Haug氏の1週間の全コミュニケーションデータを収集し分析した。その結果、監督とのミーティングで対面コミュニケーションにより暗黙知を含む重要な意思決定と伝達が行われていること、VFX企業については、プロダクションヘの近接性、使用言語の相違などの条件により、複数のコミュニケーション手段を補完的に組み合わせていること、またVFXスーパーバイザーにより監督の指示の「翻訳」ノートが送られるなどの工夫で、遠隔立地による不利のカバーが行われていること等が明らかとなった。
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