2001 Fiscal Year Annual Research Report
理科実験観察にともなう確証の判断能力と科学的思考力の育成に関する研究
Project/Area Number |
13780140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
平野 俊英 島根大学, 教育学部, 講師 (70325033)
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Keywords | 理科教育方法学 / 実験観察 / 確証判断 / 科学的思考力 / 授業過程分析 / 学習評価 / 理科の基礎基本 / カリキュラム評価 |
Research Abstract |
本研究は、理科実験観察活動で学習者が概念的理解の論理一貫性を築くために必要不可欠な科字的思考力、特に「確証判断能力」を中心に学習者の実態を明らかにするとともに、これらの資質育成に有効な教授支援方略を検討することを目的としている。 このうち本年度は、課題に適する実験観察を数テーマ設定したうえで、学習者の探究過程での思考様式について、確証判断の有無やその対象、さらには結論の論理性などの特性、さらには科学性の度合いなどについて明らかにした。以下に結果を示す。 1.教員養成系学部学生に見る、探究過程での思考特性の分析 先行研究より、「電気回路」に係わる単元での小学生児童の思考特性は既に分析済みである。これをふまえ、中等教育修了者かつ理科教員候補者である教員養成系学部学生を対象に、中学校の「電気回路」に係わる実験活動を導入した大学講義における彼らの思考特性を分析し、義務教育で育成すべき理解や科学的思考の定着度と講義による変容を捉えた。大学生であっても教育的介入がなければ中学生と同様な定着度を示すこと、仮説設定前に事象への疑間をわかせる知的な意欲高揚策が行われ、彼らに自由度を持たせた実験活動が提供できれば、彼らの意欲面や理解面に効果的に働くこと、などが得られた。 2.小学生に見る、確証判断に関する思考特性の分析 調査協力校との協議の結果、小学校第4学年の単完「水のすがたとゆくえ」・第6学年「自然界のつながりを探ろう」を題材として、学習者の探究過程をVTR記録、筆記記録等をもとに浮き彫りにし、確証判断の有無やその対象、さらには結論の論理性を吟味し、学習者の思考の特性を明らかにした。概して、設定テーマによらず、児童は実験観察での取り扱い事象が明確なほど、仮設設定や確証判断で科学的に処理することが意識化できたが、仮設の自由度を狭めるために、彼らの思考過程も理科授業も単調になること、などが得られた。
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