2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
宇野 毅明 国立情報学研究所, 情報学基礎研究系, 助教授 (00302977)
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Keywords | 列挙 / アルゴリズム / 高速化 / マッチング / 極大マッチング / 極小被覆 |
Research Abstract |
今年度は、列挙アルゴリズムの高速化について主に以下の3つの研究を行った。 1つ目は、2部グラフの完全マッチングを列挙するアルゴリズムの高速化である。既存のアルゴリズムは、入力したグラフG=(V, E)に対して、出力する2部完全マッチング1つあたり0(|V|)の計算時間を必要としていた。今回の研究では、現在研究を進めている列挙アルゴリズムの高速化手法を用いてこのアルゴリズムを改良し、出力1つあたりの計算時間を0(log |V|)に減少させることに成功した。この結果は、既存の改良方法では得られないものであり、今回研究を進めている高速化手法の成果といえる。 2つ目は一般グラフの極大マッチングを列挙するアルゴリズムの高速化である。既存研究では、極大マッチングの列挙は極大安定集合を列挙するアルゴリズムを用いて行うしか方法がなく、最大次数がΔであるような入力グラフG=(V, E)に対する計算速度は、解1つあたりO(|E|^2|Δ|)であった。今回の研究では、このアルゴリズムを極大マッチング専用に改良し、また現在研究を進めている列挙アルゴリズム高速化手法の基本コンセプトである、ならし解析をうまく働かせるようなアルゴリズム作りに基づいて、さらなる改良を行い、解1つあたりの計算時間をO(|Δ|)まで減少させることができた。 3つ目は極小集合被覆を列挙する実用的な高速アルゴリズムの開発である。極小集合被覆列挙問題に対しては、出力多項式時間のアルゴリズムがいまだ提案されておらず、実用の意味でも、列挙には多大な計算時間を必要としていた。今回の研究では、上記2つのアルゴリズムの改良で用いた技術を用いて、理論的な計算量は大きいが、実用的には高速なアルゴリズムの開発を行った。これにより、いくつかの問題例では、既存の方法より100倍以上速い速度で列挙が終了するようになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Takeaki UNO: "A Fast Algorithm for Enumerating Bipartite Perfect Matchings"Lecture Note in Computer Science. 2223. 367-379 (2001)
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[Publications] 宇野 毅明: "重み付き投票ゲームにおける投票力指数の計算の高速化"情報処理学会研究報告 アルゴリズム研究部会. 80. 33-40 (2001)
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[Publications] 宇野 毅明: "極小集合被覆を列挙する実用的高速アルゴリズム"情報処理学会研究報告 アルゴリズム研究部会. 83(印刷中). (2002)
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[Publications] Takeaki UNO: "A Fast Algorithm for Enumeration of Maximal Matchings in General Graphs"NII Journal. 3. 89-97 (2001)