Research Abstract |
本研究では,単眼カメラの微小回転時の運動視差による奥行き計測システムを2台組み合わせて,単眼での奥行き計測を利用したステレオビジョンシステムの構築を行い.その利点について検討を進めた. 昨年度には,ステレオビジョンの基本的な構成を行い,近距離から中距離の間での奥行き計測とオクルージョン時の奥行き計測についての実験を行い,有効性を確認した. 本年度は,昨年度の取り組みをふまえ,ステレオビジョンシステムとして,より計測精度を高めるために,計画的な視線移動について検討することに取り組んだ.より正確なカメラモデルを適用して,カメラの微小回転量を変化させた時の計測特性を検討した.すなわち,微小回転量と等視差曲線との間の関係について検討した. これまでも,微小回転量を変化させ,複数の計測を行い,その平均を求めるという経験的な方法を用いて,奥行き計測精度の向上を図っていたが,この方法は,計測結果からは,同じ微小回転量の複数計測の平均化との違いでさえも,明確ではなかった. ここでは,得られたモデルの振る舞いから,この手法の妥当性を検証することとなった.その結果から,経験的な手法であった従来法でも,精度の向上は見込むことができるが,微小回転量の変化に対する等視差曲線において,等視差である範囲について着目して,微小回転量の制御を行うと,より精度の向上の可能性があることが示唆された.また,等視差にある範囲に限らず,すなわち,連続に視線移動を行わず,不規則に見える不連続な視線移動でも,その組合せにより,精度の向上の可能性があることを示唆している. 今後は,計画的な視線移動の検討を進め,実用的なシステムとしての実装を進める予定である.
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