Research Abstract |
本年度においては,まず,本来同一であるべきポリゴンデータに生ずる,名称属性,位相構造,境界線形状,境界線位置に関する不一致を検出し,それらの程度を評価する手続きに関する理論的研究を進めた.この手続きのアウトラインについては,既に,学術誌「GIS-理論と応用」において,研究代表者らによって公表されているが,そこにおいて考慮外となっていた問題点を,ポリゴン間の位相構造に基づく評価対象境界線のペアの抽出方法などに関して見出した. 次に,計算の高速化・評価結果の安定化など,この手続きの計算機上への実装を行う上での重要な諸パラメータを,テストデータに対する数値実験結果から経験的に導いた. その後,上の結果を踏まえ,C言語および既存GISソフトウェアArc/Info用マクロ言語(AML, Arc Macro Language)を用い,上の手続きを実装した対話的なコンピュータシステムの開発を行った.この開発されたシステムに関しては,その仕様・操作法をまとめ,東京大学空間情報科学研究センターより,ディスカッションペーパー(増山ら,2002)を公表している. このシステムに関しては,東京23区内の二つの区(世田谷区,新宿区)における町丁目界データ(数値地図,センサスマッピングシステムデータ)を題材とし,その試験的適用を行った.その結果,これらデータ間に存在している相違は,境界線形状・位置に関しても,また,位相構造に関しても,決して無視し得ないものであるという知見を得た. 今年度は,実証的評価の対象地域を拡大し,また,そこで得られた成果の学会発表を行っていく予定である.
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