2002 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉真空容器内熱流動過渡事象における放射化ダストの挙動に関する研究
Project/Area Number |
13780397
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横峯 健彦 九州大学, 総合理工学研究院, 助教授 (40240204)
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Keywords | 衝撃波 / エロージョンダスト / ICE / LOVA / 液架力 |
Research Abstract |
核融合炉運転時においてICE(真空容器内冷却材侵入事象)、さらにLOVA(真空境界破断事象)が引き起こされると、置換流により容器内の放射化ダストやトリチウムの微粒子を同伴して容器外部に流出し、公衆被爆を引き起こす可能性がある。これら事故事象を予測する際に重要な湿潤・減圧環境下さらにはそういった環境下で衝撃波との相互作用を考慮できる粒子飛散・再付着現象の定量的モデルに関する研究・報告は皆無である。本研究では、以上のような極限環境下でのダスト堆積層と衝撃波との相互作用等について定量化実験を行い、数値モデルを開発することを目的とした。初年度は、ダクト壁面上ダスト堆積層からのダスト飛散、再付着現象の定量化実験を行った。実験では、圧力容器内で水蒸気を発生させ任意の湿度条件を形成し、圧力隔壁を破りICE-LOVA事象を模擬し、計画通り、圧力容器破断時におけるwetダストの飛散・再付着を定量化することができた。さらに堆積層と衝撃波の相互作用および堆積層崩壊-ダスト飛散過程のメカニズムを調べ、衝撃波との相互作用の場合は湿度の依存性は無く、wetダストの場合、その堆積層からの飛散率および再付着率が初期圧力に大きく依存することが明らかにした。2年目は、C-CUP法を用いた数値解析を行った。衝撃波と干渉する湿潤状態におけるのダスト飛散解析では、粒子間および粒子-壁間に液架力を考慮し、乾燥状態での挙動との比較を行った。ここで、衝撃波と粒子の干渉で計算の発散が起こったため、新たにスムージングの方法を試行した。また、今後課題となる問題点を抽出した。一つは、従来用いられてきた粒子を記述する弾塑性モデルが、比較的高速の衝突の際に、十分な反発力を生じぬまま衝突方向とは別の方向へその蓄積された弾性エネルギーを移流させてしまう点である。この解決には、衝突-反発過程に関して新たにtime-splittingを行うモデルを開発する必要がある。もう一つは、軟化、溶融状態における粒子間のattractionの考慮である。これには、粒序内の各計算セルを温度を関数としたattraction forceで模擬したネットワークでモデル化する必要がある。
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