2002 Fiscal Year Annual Research Report
樹冠通過する酸性降下物の緩衝反応に関わる未知物質の探索
Project/Area Number |
13780417
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
西田 継 山梨大学, 工学部, 助教授 (70293438)
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Keywords | 酸性降下物 / 緩衝反応 / 樹冠 / 有機酸 / 葉洗浄法 / 樹体溶脱 / 溶液化学 / 乾性沈着 |
Research Abstract |
森林に与える酸性物質の直接的および間接的影響を正確に知ることが,緊急の課題となっている.本研究では,森林内の樹木と接触した降雨が地上に到達するまでに受ける水質的インパクトを定量化し,その過程において降水中の酸の緩衝反応を支配する因子を抽出することを目的とした.平成13年度-14年度の研究実績を総括すると以下のようである. 山梨県甲府市(都市域)および富士吉田市(自然域)のアカマツ二次林を主たる調査地とし,林外雨および樹冠通過雨の水質水文データを長期間にわたり継続的に取得した.平成14年度後半は,大気降下物として,湿性沈着である林外雨とともに乾性沈着の実測も行った.その結果,酸性大気降下物と森林樹冠部の反応に関して重要と考えられる次のような成果が得られた. 1.アカマツ林では多量の有機態アニオンの存在が示された.冷涼な富士吉田ではDOCフラックスとして甲府の1/4程度であり,なおかつ,夏期の観光による自動車大気汚染が進行していることから,酸性降下物の影響が深刻化する恐れがある. 2.葉による溶出実験データを加えて林内雨水質を解析し,Ca^<2+>,Mg^<2+>,NO_3^-,S_4^<2->は乾性沈着の寄与が大きいことが判明した. 3.アカマツ樹冠通過雨pHは,林外雨の酸性度に直接影響されるのではなく樹冠内付着/生産物質との反応により規定される.生産物質(=有機物)の寄与は確かに大きいことが示された.一方,付着物質(=乾性沈着)の寄与は今後のネット量による議論が必要である. 4.樹冠通過雨に含まれる低級脂肪酸は少量であった.溶液化学的分析法により2-3種の弱酸の存在量と酸解離定数を定量した.現在,化学構造の同定と定量の最終段階である.
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