2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高橋 耕一 信州大学, 理学部, 助手 (80324226)
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Keywords | 環境変動 / 移行帯 / ハイマツ / ダケカンバ / シラビソ / 年輪 |
Research Abstract |
今年度は調査対象を森林限界だけにとどめずに,標高傾度にそった森林植生の垂直分布が環境変動によって全体的に押し上がるのかについて,調査研究を行った.植生は標高にそって徐々に変化するのではなく,移行帯と呼ばれるところで急激に変化する.すなわち移行帯は分布の上限と下限の種によって形成されている.そのため植生帯が環境変動によって上昇するかどうかを明らかにする上で,移行帯における調査研究は不可欠である.そこで今年度は,山地帯と亜高山帯の間,および亜高山帯と高山帯の間の移行帯において,気象条件が分布の上限と下限の種の成長にどのように影響しているのかを明らかにした.その結果,次の3点の結果が得られた.(1)一般的には標高が高いほど,降水量よりも夏の気温が成長に重要である,(2)同じ移行帯ならば,分布の下限の種の方が上限の種よりも夏の高い気温によって成長が抑制される,(3)高山帯で優占するハイマツは現在の分布下限よりも低い標高でも生長可能であるが,亜高山帯の樹種との競争によって,分布が高山帯に限られている.以上の結果は,2本の学術論文としてまとめられ,現在,学術雑誌に投稿中である. 分布域の異なる樹種の成長と気象条件との関係はかなり分かってきた.しかし環境変動によって植生帯がどのように変化するかを明らかにするためには,まだまだ課題は多い.今後は種子の発芽実験,移行帯における分布の上限と下限の種の気孔抵抗の測定,そして冬の凍害の影響などを調べる予定である.
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