2002 Fiscal Year Annual Research Report
衛星データによる、紀伊半島全域の熱収支モデルの開発
Project/Area Number |
13780424
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
村松 加奈子 奈良女子大学, 共生科学研究センター, 助教授 (20252827)
|
Keywords | 太陽エネルギー / エネルギー消費量 / 植生 / 二酸化炭素排出量 / 二酸化炭素吸収量 / 紀伊半島 / 人間活動 |
Research Abstract |
地球上にふりそそがれた太陽エネルギーが地球上でどのように使用されているかという地表面熱エネルギー収支は地表面が森林であるのか市街域であるのかといった土地被覆の状態や人間活動と密接にかかわっている。 本研究では、紀伊半島全域での熱エネルギー収支のメカニズムの解明と人間活動との関係に関するモデル構築を最終目標としている。ここでは特に人間活動との関係を明らかにするために行った研究に関して報告する。 紀伊半島を1つのモデル地域として、森林地帯として奈良県、三重県、和歌山県を人間活動の活発な地域として大阪府と設定した。特に人間活動の指標をモデルに組みこんでいくために、まずは人間活動の1つの指標として、エネルギー消量、水消費量をとりあげて解析を行った。各県別のエネルギー消費量、水消費量を調べた。年間各地域が受ける太陽エネルギー量を各県毎に算出した。森林地帯である奈良県では、年間受ける太陽エネルギーの約0.2%しかエネルギー消費をしていないが、大阪府では約8%のエネルギーを消費していることが明らかとなった。また衛星データからは各県別の植被率と、植生による二酸化炭素吸収量を推定した。衛星データからの植生による二酸化炭素吸収量推定には50%から100%の誤差を含んでいると考えられる。現在この誤差の推定及び、精度を高める努力をしているところである。相対値は悪くないと判断し、エネルギー消費、水消費による二酸化炭素排出量と、森林による二酸化炭素吸収量を比較した。森林地帯である奈良県では、森林による吸収量の約10%程度の放出量であっが、大阪府では紀伊半島全域の森林による吸収量の約半分を放出していることが明らかとなった。今後生態系からの二酸化炭素放出量も併せて推定する必要がある。本研究の結果は今後グリーン税導入などの基礎資料となることが期待でき、現在進めている紀伊半島全域のモデルに早急に本結果を組み込んでいきたい。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] K.Muramatsu, H.Fujiwara, A.B.Adamezyk: "The diurnal time series relationship between Radiant energy from surface and from air for satellite data analysis"Adv. space Res.. Vol.30 No.11. 2523-2528 (2002)