2002 Fiscal Year Annual Research Report
界面活性剤被覆酵素による難・非水溶性難分解物質の無害化と分解に関する研究
Project/Area Number |
13780451
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
越川 博元 京都大学, 工学研究科, 講師 (70273480)
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Keywords | 界面活性剤被覆酵素 / span60 / ペルオキシダーゼ |
Research Abstract |
近年、科学技術の進歩に伴ってさまざまな化学物質が利用された多くの製品が生産され、日常生活の利便性に大きく貢献してきた。同時に環境中に放出される化学物質の種類や量は増加傾向にあり、これらの中には分解・処理が困難である農薬や環境ホルモン物質など、生態系および生体への何らかの悪影響を与え得るものが多い。 これらの化学物質に対して物理化学的、あるいは生物学的処理の研究が進められており、特に生物処理は比較的穏和な条件を設定することができるなどの利点を有している。しかしながら問題となる物質の多くは水に難溶かあるいは不溶であることが多く、水相での分解や処理は困難であることが多い。逆にこれらの化学物質は有機溶媒には溶解しやすいが、有機溶媒中では微生物は死滅し酵素は変性してしまうため、その機能・活性を失ってしまうというジレンマがある。 本研究では難・不水溶性難分解性物質の生物学的分解のひとつとして界面活性剤被覆酵素による反応を提案し、その基礎とするため界面活性剤被覆酵素の調製方法とその特性について検討をおこなった。得られた主な結果を以下に列挙する。 1)非イオン系界面活性剤であるspan60によりペルオキシダーゼを被覆した。この被覆ペルオキシダーゼはベンゼン中においても活性を示した。 2)span60とペルオキシダーゼの量比について検討したところ最適比が存在し、ペルオキシダーゼ1mgに対してspan60が40mgとした場合に、被覆ペルオキシダーゼとして最も高い活性を得た。 3)被覆ペルオキシダーゼの調製にあたっては、被覆に供するペルオキシダーゼが溶解している緩衝液のpHが、調製後の被覆ペルオキシダーゼの活性に対して影響を与えていた。本ペルオキシダーゼの場合には、水溶液中でのいわゆる最適pHにあるペルオキシダーゼを使用して調製しても必ずしも高活性な被覆ペルオキシダーゼが得られるわけではないことがわかった。
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Research Products
(1 results)