2001 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾を施した天然分岐糖鎖への分岐特異的シアル酸転移酵素反応
Project/Area Number |
13780469
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
梶原 康宏 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (50275020)
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Keywords | 分岐糖鎖 / シアル酸転移酵素 |
Research Abstract |
本研究では、糖タンパク質からタンパク質分解酵素を用いて2分岐型糖鎖を単離することからはじめた。2分岐型糖鎖は鶏卵から単離することにした。2分岐型糖鎖は、アスパラギンが結合した糖鎖アミノ酸として約1グラム得ることができた。そして、この基質に対し、0.1NのHClを作用させ、非還元末端のシアル酸を除去したアシアロ糖鎖へ、ほぼ定量的に変換した。そして、アスパラギンに、Fmoc基、メチルエステル基を導入して有機溶剤に溶けやすい誘導体へと変換後、この糖鎖が有する糖水酸基に対し様々な保護基の導入を試みた。保護基としては、シリル系、アセタール系のものを用いた。シリル系の保護基は、温度等制御して糖鎖への導入数を調整したが、糖鎖の両分岐鎖に、保護基が導入された。そこで、ベンジリデンアセタール基を用いることにした。しかし、このアセタール化は反応性が低いため、長時間糖鎖と反応させる必要があった。その結果、糖鎖中にベンジリデンアセタール基が導入されうる場所が4箇所あるが、そのほとんどに保護基が導入された。そこで、反応性の高いジメチルアセタール化を検討したところ、糖鎖中にジメチルアセタール基が導入されうる場所が4箇所あるが、このうち一箇所に保護基が導入された糖鎖が2-3種類得られた。これにより、高分子量の糖鎖に保護基を導入するという実験にはじめて成功した。そこで、これら異性体をHPLCで単離し、その構造解析を検討することにした。構造解析には、60個以上ある糖鎖のプロトンをNMRで帰属し、どの位置に保護基が導入されたかを効率よく確かめる測定法が必要である。そこで、新しいNMRの測定法の開発も検討した。その結果、10個程度の糖残基からなる糖鎖の中から単糖のみの2次元COSYスペクトルを得る、2D-selectiveTOCSY-DQFCOSY法を確立した。現在は、この測定法を利用して、糖鎖の30個以上ある水酸基のどの位置に保護基が導入されているのか、詳細な解析を検討している。
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