2001 Fiscal Year Annual Research Report
進化分子工学を用いた蛋白質のフォールディング機構に関する研究
Project/Area Number |
13780486
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
玉腰 雅忠 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (10277254)
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Keywords | 進化工学 / フォールディング / 耐熱性 / 3-イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ |
Research Abstract |
高度好熱菌内で好熱菌自身のイソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(IPMDH)のかわりに大腸菌IPMDHを発現させた。本酵素はロイシン合成に関わる酵素であるが、培地中にロイシンが無い場合、その形質転換株は51℃では生育できたが、56℃では生育できなかった。そこで自然に起きる突然変異により56℃でも生育可能となった変異株を得た。染色体DNAからIPMDH遺伝子をPCRにより増幅し、大腸菌内にクローニングして塩基配列解析を調べたところ、Ser106Ileの変異が起きていた。次に大腸菌内で大量発現させ、酵素を精製して耐熱性を調べたところ、Tmにして野生型大腸菌IPMDHよりも10℃低下していた。また、触媒活性を調べたところ、野生型酵素よりも低下していた。したがって、この変異が得られた理由は、いわゆる酵素の耐熱性や触媒活性の上昇によるものではないことがわかった。一方、終濃度6Mのグアニジン塩酸で酵素を変性させておき、緩衝液で希釈したところ、変異酵素の方が野生型酵素に比べて高い活性を示した。この傾向は50〜55℃の高温で顕著であったが、35〜40℃の低温でもリフォールディングの割合は変異酵素の方が高かった。また、酵素濃度が高くなるほどどちらの酵素もリフォールディング率が下がった。そこで、リフォールディング反応における濁度を測定したところ、どちらも温度が上昇するにしたがって濁度が上昇したが、変異酵素の方が濁度が低かった。したがって、この変異はフォールディングにおける凝集が起きにくくなった酵素と考えられる。IPMDHの立体構造から、106番は2つのドメイン間のヒンジ領域に存在する。アミノ酸置換によって蛋白質のフォールディング能を改善するためには、ヒンジ領域が重要なのかもしれない。
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