2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780487
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
長浜 正巳 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (60281169)
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Keywords | 三量体Gタンパク質 / ゴルジ体 / シグナル伝達 / RGS |
Research Abstract |
ゴルジ体は真核細胞におけるタンパク質の分泌過程で中心的役割を担う細胞内オルガネラであり、その構造維持には様々なシグナル伝達機構が関与していると考えられる。我々は、三量体Gタンパク質αサブユニットの一種であるGαzがこの機構に関与する可能性を見い出した。Gαzに特異的なGAPであるRGSZ1を過剰発現させると、ゴルジ体由来小胞のコートタンパク質であるβ-COPがゴルジ体から分散する。本研究ではまず、種々のゴルジ体タンパク質をマーカーとして、RGSZ1によるゴルジ体の構造変化を詳細に調べた。その結果、種々のゴルジ体膜タンパク質や膜表在性タンパク質においても、β-COPと同様に分散化が認められた。このことから、RGSZ1はコートタンパク質のゴルジ体膜への結合に作用するのではなく、ゴルジ体膜の構造そのものに影響を及ぼしていることが明らかとなった。またゴルジ体の分散機構として、RGSZ1が小胞体からゴルジ体への膜輸送を阻害したためにオルガネラ間の動的平衡が乱れ、間接的にゴルジ体の構造に影響を及ぼした可能性が考えられた。そこで、水疱性口内炎ウイルス由来タンパク質の温度感受性変異体であるVSVGと緑色蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質(VSVG-GFP)の輸送を指標にして、RGSZ1の発現が小胞輸送へ与える影響を検討した。その結果、RGSZ1の過剰発現によって小胞体-ゴルジ体間輸送に遅れが見られたが、完全な阻害は起こらなかった。この結果から、RGSZ1によるゴルジ体の分散は、部分的に小胞輸送の阻害によって引き起こされた可能性が考えられたが、RGSZ1を強く発現している細胞においても輸送の完全な阻害は起こらないことから、他のメカニズムによるゴルジ体構造への直接的な作用機構の存在も示唆された。
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Research Products
(1 results)