2002 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴ脂質生合成を律速するセリンパルミトイルトランスフェラーゼの活性発現機構
Project/Area Number |
13780488
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
生城 浩子 大阪医科大学, 医学部, 助手 (10280702)
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Keywords | スフィンゴモナス菌 / セリンパルミトイルトランスフェラーゼ / PLP酵素 / スフィンゴ脂質 |
Research Abstract |
Sphingomonas paicimobilis由来セリンパルミトイルトランスフェラーゼ(SPT)の結晶化条件を検索する過程で、保存中の精製標品がN末端近傍で切断されていくことが観察され、これが本タンパク質の結晶化を妨げているのではないかと考えられた。そこで、切断部位を同定し、この残基を含むN末領域を欠損させた組換えSPTの大腸菌内発現系を構築した。N末欠損型SPTは野生型SPTと同様の方法で精製することができ、調べた範囲内において両者の酵素学的諸性質に差は認められなかった。N末欠損タンパク質を用いたSPTの結晶化に成功し、X線回折の測定とデータの解析を試みたが、立体構造決定には至っていない。現在、さらに良好な結晶を得るため、詳細な結晶化の条件検討とX線回折の測定を続けている。 補酵素PLPに起因する特徴的なスペクトルを指標として、SPTと一連の基質・生成物誘導体や阻害剤との反応機構の解析を行った。精製酵素に基質であるL-セリンを添加すると、external aldimine中間体生成を示唆するスペクトル変化が観察された。一方、L-セリンのアミノ基を欠く構造を有する3-hydroxypropionateはSPTに結合したものの、上述のスペクトル変化を全く示さなかった。さらに、種々のL-セリン誘導体の結合性を調べた結果、SPTの基質認識にはアミノ酸のα-カルボキシル基が必須ではないかと考えられた。SPT特異的阻害剤のmyriocinやsphingofunginBは、SPTに対して基質よりも非常に高い親和性を示した。β-Chloro-L-alanineとL-cycloserineは不可逆的に補酵素と反応して不活性な付加物を形成した。以上のように、細菌由来水溶性SPTを用いて従来より知られる阻害剤の反応機構を分子レベルで解析することが可能となり、本酵素が真核生物SPTのモデル系となりうることを示した。
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Research Products
(1 results)