2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780499
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡部 通寿 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40303127)
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Keywords | ミオシンV / シンタキシン / 膜融合装置 / 開口放出 / カルシウム / 神経伝達 / AFM / BIAcore |
Research Abstract |
1.本年度はミオシンVを昆虫細胞で発現させる系の構築を計画していた。しかしながら,発現ベクターの構築が予想以上にすすまず,ようやくバキュロウィルスをつくることができる段階になったばかりである。 2.GFP-ミオシンV(ヘッド+ネック)およびDsRedシンタキシン1Aの各融合タンパク質の哺乳動物細胞発現ベクターを構築し,COS7株にトランスフェクトして細胞内で結合するか検討した。GFPミオシンV(ヘッド+ネック)の現量が少なく,COS7内での結合は検出できなかった。発現系を再検討している。 3.ミオシンVとシンタキシン1AΔCとの結合について,BIAcore3000(本学共同利用機器)を用いて検討した。センサーチップCM5にミオシンVを固定してリガンドとした。 1)ミオシンVからカルモジュリンが解離する化学量論:Ca-EGTA緩衝液を用い,pCa7.3から3まで段階的に[Ca^<2+>]を変化させ,ミオシンVから解離するカルモジュリンの量を測定した。その結果,センサーグラムから解離している様子を観察することができたが、定量するに至っていない。 2)ミオシンVとシンタキシン1Aとの結合の強さについて,pCa5.5条件で測定した。その結果,解離定教は,Kd=10^<-6>から10^<-7>程度だった。ミオシンVとシンタキシン1Aとの結合は比較的強く,また生理的に可逆的と考えられる。 3)ミオシンVとシンタキシン1Aとの結合の化学量論について検討中である。現在得られている傾向として,シンタキシン1Aが(i)低濃度(0.1μM)のときミオシンV/シンタキシン1A=1/1(mol/mol),(ii)高濃度(1-10μM)のときミオシンV/シンタキシン1A=1/2(mol/mol)であった。シンタキシン1AがミオシンVに結合するとき,Ca^<2+>を求することと,化学量論的な傾向とから,シンタキシン1Aの結合部位はミオシンVのカルモジュリン軽鎖が結合しているIQモチーフ領城と考えられる。 4.ミオシンVとシンタキシン1Aとの結合部位を決定するため原子間力顕微鏡(AFM)および過型電子顕微鏡(TEM)を用いてミオシンV-シンタキシン1A複合体を観察した。TEMはロータリーシャドーイングによるレプリカ法を用い,片山栄作博士(東京大学医科学研究所)に観察していただいた。その結果,AFM, TEMいずれの場合でもネックドメイン付近にシンタキシン1Aが結合していると考えられる像が観察された。現在,生化学的に決定するため,化学架橋剤を用いる方法を検討している。 以上の結果をまとめると,シンタキシン1AとミオシンVとの結合はミオシンVのIQモチーフを介して生理的に起こると考えられる。
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