2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780517
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮武 秀行 理化学研究所, 理論構造生物学研究室, 研究員 (50291935)
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Keywords | センサーキナーゼ / レスポンスレギュレータ / 2成分系 / 結晶構造 |
Research Abstract |
高度好熱菌(Thermas thermophilus HB8)のゲノムデータベースから、センサーキナーゼ・レスポンスレギュレータ遺伝子を検索した結果、原核生物の浸透圧センサーとして知られているEnvZおよび、それに対応するレスポンスレギュレータである、OmpRを同定することができた。EnvZ遺伝子を増幅し、pET systemに再構築した。宿主はBL21(DE3)を用い、30L培養装置を使って、形質転換した大腸菌を大量培養した。EnvZは不溶性画分に発現したが、β-D-octylglucopyranosideを用いて可溶化・精製に成功した。これを用いて単結晶の調製を試みたところ、低分解能(口8Å)ではあるが、回折点を与えることが分かった。これは、膜貫通部位・2量体形成部位・自己リン酸化部位のすべてを含むセンサーキナーゼ全長の、初めての単結晶である。現在、より高分解能な回折点を与える単結晶の調製条件を検索中である。この結晶構造が明らかになれば、センサーキナーゼに共通した制御機構の解明に大きく寄与すると考えられる。今後は、T.thermophilus HB8由来の他のセンサーキナーゼの発現・精製・結晶化も試みていく。一方、OmpRについては発現・精製には成功したものの、有用な単結晶の調製には至っていない。しかしながら、T.thermophilus HB8由来の、4種類のレスポンスレギュレータについて発現・精製およびそれらの単結晶を調製することに成功した。そのうち、現在までに1種類の結晶構造解析に成功し、詳細な機能解析を進めている。他の結晶構造についても、得られた構造を基にして分子置換法により解析を進めている。これらの解析が終了すれば、単一生物種が持つ複数のレスポンスレギュレータについて構造比較が可能になり、2成分系における情報伝達機構の制御様式について有用な知見が得られるだろう。
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