2001 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリアの転移性遺伝因子ISの転移とその制御の分子機構
Project/Area Number |
13780546
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
関根 靖彦 立教大学, 理学部, 助教授 (80222074)
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Keywords | 大腸菌 / 転移性遺伝因子 / トランスポゾン / IS1 / IS3 / トランスポゼース / H-NS / ヒストン様タンパク質 |
Research Abstract |
1 大腸菌細胞内における環状IS1分子の動態:環状IS1分子が、転移反応の中間体として機能する可能性を検証するために実験を行い、以下のような結果を得た。(1)環状IS1分子と通常の形状を持つIS1の転移能を測定したところ、前者は後者より約100倍高い頻度で転移することがわかった。 (2)環状IS1を運ぶプラスミドを保持する大腸菌内でトランスポゼースを過剰に産生させると、環状IS1分子が切断されて生じると考えられる分子種が検出されたが、その安定性は低かった。(3)環状IS1分子が持つ6〜9塩基対の介在配列の長さを様々に変化させた場合の環状IS1分子の転移能を調べたところ、6〜7塩基対の場合が最も転移能が高いことがわかった。 (2)精製IS3トランスポゼースによる転移素反応のin vitroでの解析:IS3のトランスポゼースをマルトース結合タンパク質との融合タンパク質の形で精製した。IS3を運ぶプラスミドDNAとこの精製タンパク質を反応させることにより、8型分子をin vitroで生成させることに成功した。この8型分子形成反応には基質DNAの超らせん構造が必要であることがわかった。 (3)IS1の転移に関与する宿主因子H-NSの解析:(1)IS1 DNAに対するH-NSの結合能の有無をゲルシフト法により調べたところ、IS1の配列中にはH-NSが強く結合する部位はなかった。(2)H-NSタンパク質はいくつかの機能ドメインに分かれているが、C末のDNA結合ドメイン中に変異をもつH-NS変異株でもIS1の転移は起こったため、IS1の転移にはH-NSのDNA結合ドメインは不要であることがわかった。一方、マルチマー形成に必要な中央のドメイン中に変異をもつH-NS変異株はIS1の転移は起こらなかったため、IS1の転移にはH-NSのマルチマー形成ドメインが必要であることがわかった。
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Research Products
(1 results)