2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780548
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上園 幸史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30251408)
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Keywords | 浸透圧 / タンパク質合成 / 翻訳開始 / MAPキナーゼ / HOG1 / ストレス |
Research Abstract |
細胞は環境の変化に反応して適応する機構を備えている。環境変化による翻訳制御機構を明らかにするため、種々の環境ストレスと蛋白質合成の関係を出芽酵母を材料として調べた。その結果、浸透圧ストレスが、メチオニンの恒常的取込み阻害、ウラシルの一過的取込み阻害、グルコースの一過的取込み促進、リボソーム蛋白質(RP)遺伝子の一過的発現抑制等を引き起こし、さらに全ての蛋白質合成を翻訳開始レベルで一過的に阻害する事実を見い出した。浸透圧ストレスによる翻訳開始の急速な阻害は、既存の停止経路であるアミノ酸飢餓経路、グルコース飢餓経路、TOR (Target of Rapamycin)経路とは異なる新規の情報伝達経路であった。また出芽酵母の浸透圧情報伝達に関わるHog1 MAPキナーゼ経路は、浸透圧ストレスによるメチオニンの恒常的取込み阻害や翻訳開始の急速な阻害には関与していないが、RP遺伝子群の急速な発現抑制や阻害後の翻訳開始の回復に必要であることを明らかにした。 これらの結果から、浸透圧ストレスによる翻訳開始の一過的な阻害現象は、未同定の新規経路による急速な翻訳開始阻害反応と、Hog1 MAPキナーゼ経路を介した翻訳開始活性化反応の二つの機構から構成されると考えられる。
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Research Products
(1 results)