2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780550
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田 司 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (10323643)
|
Keywords | 遺伝子 / 癌 / シグナル伝達 / 細胞組織 |
Research Abstract |
HSH2(Hematopoietic SH2 protein)は、我々が同定したSH2 domainを含む新規の蛋白質で、血液細胞で強く発現している。本研究で、HSH2がチロシンキナーゼを介した細胞内情報伝達に関与する可能性について検討した。その結果、HSH2は血液細胞の分化・増殖に重要な働きをするチロシンキナーゼc-Fes, ACK1, JAK2と結合することが分かった。HSH2とJAK2との相互作用をさらに詳細に解析したところ、HSH2のN末端は構成的に、C末端はキナーゼ活性依存的にJAK2と結合することが分かった。更に、HSH2のC末端領域がJAK2の活性を増強することが明らかになった。JAK/STAT経路は細胞増殖に中心的な役割を持つシグナル伝達機構のひとつであり、その制御の異常が細胞の癌化と密接に関連している。HSH2によるJAK2の活性化のメカニズムの解明は、JAK/STAT経路を制御する分子機構の全体像を明らかにしていく上で重要であると考えられる。 次にHSH2と血液疾患発症との関連について検討した。ESTデータベースでHSH2 cDNAクローンの異常を検索したところ、あるalternative splicing formは野性型HSH2 cDNAと比べて4塩基欠失しており、野性型HSH2の翻訳ができないことが分かった。興味深いことに、データベース上の野性型HSH2 cDNAが正常血液細胞、白血病由来細胞(10クローン)のどちらからも検出されたのに対して、上記のalternative splicing form cDNAはすべて白血病細胞(5クローン)から検出された。HSH2の異常が、JAK/STAT経路の制御を乱し、血液疾患発症に関与しているか更に検討していく必要がある。
|
Research Products
(1 results)