2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780591
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
竹内 和子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教務職員 (50304168)
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Keywords | 網膜 / 軸形成 / BMP4 / Tbx5 / Tbx3 / Tbx2 / 発生 |
Research Abstract |
網膜の背腹軸形成において、これまで背側、腹側の形成に関わる因子については解析が行なわれてきたが、中間部を含めた形での背腹軸形成メカニズムはほとんど明らかにされていない。研究代表者は網膜の背側化に関わる転写因子Tbx5の機能解析から、網膜の背から腹にかけての領域形成にシグナル分子であるBMP4が関わっている事を見い出した。 高濃度のBMP4を網膜腹側に投与すると、腹側網膜は背側の個性を持つようになり、本来網膜背側由来の軸索が投射する視蓋の腹側に軸索を伸長した。中濃度のBMP4を投与した腹側網膜からは視蓋の腹側から中間部にかけての領域に、低濃度のBMP4を投与した腹側網膜からは視蓋の中間部から背側にかけての領域に軸索が投射した。これらの領域は本来網膜の中間部に由来する軸索が投射するところである。興味深いことに網膜の背から中間部にかけてはTbx5、Tbx3、Tbx2が入れ子状に発現しており、これらのTbx遺伝子とBMPシグナルとの関係を調べたところ、これらの遺伝子がBMP4の濃度依存的に発現誘導されることが明らかになった。次に、これらの遺伝子を強制発現させた時の網膜視蓋投射パターンを解析したところ、Tbx3、Tbx2は網膜中間部の個性の決定に関わっていることが明らかになった。すなわち、Tbx3を強制発現させた網膜腹側からの軸索は視蓋の腹側から中間部にかけての領域に、Tbx2を強制発現させた網膜腹側の軸索は視蓋の中間部から背側にかけての領域に投射した。 これらの結果は、網膜の背腹軸形成において、シグナル分子であるBMP4が背から腹にかけて濃度勾配を形成し、その濃度依存的に転写因子のTbx遺伝子群が領域特異的に発現し、網膜の背から腹にかけての個性を決めている事を示す。現在この内容を論文にまとめて投稿準備中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 小柴 和子, その他: "ニワトリ網膜視蓋投射解析法"遺伝子医学別冊「図で観る発生・再生医学実験マニュアル」.
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[Publications] 竹内 純, その他: "器官の極性決定とTbx遺伝子"医学のあゆみ. 199・13. 876-882 (2001)