2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13780595
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
山田 温子 甲南大学, ハイテク・リサーチセンター, 博士研究員 (60333217)
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Keywords | ホヤ / 分裂回数 / cdc45 / 14-3-3 / CAB / 細胞分化 / 細胞周期 / 不等分裂 |
Research Abstract |
本研究の目的は、細胞の増殖と分化という二つの問題を結び付けて理解するために、分裂回数を制御する因子を探索することである。本年度は、cdc45遺伝子に注目し研究をすすめた。ホヤのcdc45遺伝子は脊索細胞特異的に発現することが示されており、その遺伝子の発現開始時期は脊索細胞の最終分裂時期と一致している。このことから、cdc45遺伝子の発現が分裂停止時期を制御している可能性が考えられた。そこで、脊索細胞特異的に発現させるベクターにcdc45遺伝子を導入し、エレクトロポレーション法を利用して受精卵内に注入した。このベクターによる発現は、cdc45遺伝子を本来の発現開始時期よりも早くに開始させることができる。しかし、このような卵は正常通りに発生し、脊索細胞の減少は観察されなかった。 次に、14-3-3遺伝子に着目した。14-3-3遺伝子は、多くの動物において細胞周期を制御する因子として知られており、線虫では、par-5と呼ばれ、細胞極性を制御する因子の一つと考えられている。一般に14-3-3遺伝子には複数の分子種が存在するが、ホヤでは、現在までに一つの14-3-3遺伝子が単離されている。このホヤ14-3-3遺伝子の発現は、初期胚から胚全体で観察され、神経胚において予定筋肉細胞で強くなる。神経胚期は筋肉細胞の最終分裂期であることから、14-3-3遺伝子が筋肉細胞の分裂停止を制御している可能性が考えられた。そこで、14-3-3遺伝子のタンパク質レベルでの発現を明らかにすることを試みた。抗14-3-3抗体(Upstate)を用いて免疫蛍光染色を行ったところ、8細胞期以降の後方割球に発現が認められた。この発現部位は、CABと呼ばれる構造の位置に一致していた。CABはホヤの不等分裂に関わる構造であり、線虫における14-3-3遺伝子の機能を考えると、大変興味深い。今後は、14-3-3遺伝子の過剰発現実験及び機能破壊実験を行うとともに、cDNAおよびゲノムプロジェクトの結果を利用して、ホヤ胚における全14-3-3遺伝子を網羅し、それらの機能を明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(1 results)