2002 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経節前細胞におけるchemical codingの発生パターンの解析
Project/Area Number |
13780605
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
船越 健悟 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (60291572)
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Keywords | 自律神経系 / 脊髄 / 一次知覚ニューロン / ケミカル・コーディング |
Research Abstract |
平成14年度は13年度に引き続いて、15日胚(E15)から生後4日(P4)のマウスにおいて、交感節前細胞および仙髄副交感節前細胞における神経活性物質の発現と、節前細胞に対する神経線維の投射の発達過程を免疫組織化学によって調べた。その結果、15日胚においてすでに、交感節前細胞と仙髄副交感節前細胞の大部分に一酸化窒素合成酵素(NOS)が発現していることが確認されたが、P4までの間に神経ペプチドやカルシウム結合タンパクの発現は調べた限り認められなかった。また、後根神経節に由来すると思われるCGRP陽性線維は、(1)E15でLissauer's tractへ進入したのち、E16において後角に広がるより前に仙髄中間質外側核(IML)に到達し、NOS陽性細胞体に接近する、(2)仙髄IMLにおけるCGRP線維はE18からP4にかけて徐々に密度が高くなり、サブスタンスP (SP)との共存率も徐々に高まる、(3)腰髄central autonomic nucleus (CA)にもE18にはCGRP線維が到達し、NOS陽性細胞体に接近する、ことなどを認めた。一方、腰髄IMLや胸髄IMLにはP4までにCGRP線維の投射は認めなかった。これらのことより、ペプチド性一次知覚線維は、胎生期に仙髄副交感節前細胞や内蔵を支配する腰髄交感節前細胞に選択的に投射しており、骨盤臓器の内臓反射に関わっている可能性があることが明らかになった。CGRP線維の投射を受ける、腰髄IMLニューロンが骨盤神経節に投射していることを碓かめるためDiIと免疫組織化学の二重染色も試みたが十分な結果が得られなかった。 一方、予想に反して節前細胞には神経ペプチドなど神経活性物質の発現が胎生期には認められなかったことより、この時期における節前細胞のchemical codingの発達様式について詳細な検討を加えることはできなかった。
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