2001 Fiscal Year Annual Research Report
神経軸索終末に輸送されるmRNAのクローニング〜軸索形成に関与する因子の解析〜
Project/Area Number |
13780613
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
東田 千尋 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 助手 (10272931)
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Keywords | 軸索終末 / 軸索輸送 / mRNA / 神経回路網 |
Research Abstract |
本研究は、胎生期のラット脳において神経細胞の軸索内を輸送されるmRNAの存在を証明することと、それらの配列、構造、機能の検討により、軸索の形成・成熟をもたらす因子、特に未知因子について明らかにすることを目的としている。さらにそれらが神経回路網形成を促進させ得るかどうかを調べ、痴呆に代表される成熟脳の神経機能低下に対し、その回復への応用をはかる。今年度は、シナプス形成前の軸索終末、すなわち成長円錐画分を生化学的方法で分離し、その中のtotal RNAを材料に任意配列プライマーの組み合わせによるRT-PCRクローニングを行い、軸索終末に局在するmRNAを同定することを主目的とした。 1.胎生18日齢のラット脳をホモジェナイズし、ショ糖密度勾配超遠心法により成長円錐画分を得た。 2.成長円錐画分からtotal RNAを抽出し、4種類のアンカープライマーを用い逆転写酵素により一本鎖cDNAを合成した。次にそれらを鋳型にして、アンカープライマーと15種類の10-merプライマーの組み合わせで60通りのPCR反応を、ゆるい条件で行なった。その結果、成長円錐total RNA中に発現するmRNAの候補として既知配列4種、未知配列11種を得た。 3.候補mRNAの軸索終末部での発現を確認する実験を行った。胎生17日齢のラットから大脳皮質神経細胞を初代培養し、培養4-7日後に、微小ガラス管を使って、1個の神経細胞から軸索終末部だけを吸引した。そこからtotal RNAを調製し、候補mRNAの発現をRT-PCRで検討した。未知配列のうち、6配列が軸索終末部にmRNAとして発現していることが示された。残りの未知配列5種と既知配列4種は、軸索終末部での発現が見られなかった。 現在は、軸索での発現が示された6配列に付いて、それらの全長配列を解析している。同定された個々のmRNAに関して、軸索内輸送現象の証明や、軸索での機能を解析することが来年度の課題である。
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