2001 Fiscal Year Annual Research Report
単一グルタミン酸受容体チャネルにおけるカルシウムイオン流入過程の画像化
Project/Area Number |
13780633
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
櫻井 孝司 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助手 (50283362)
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Keywords | グルタミン酸 / カルシウム / イオンチャネル / 全反射照明 / マイクロフォトリシス / 正倒両立式顕微鏡 / 海馬 / レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
平成13年度は1)局所レーザー光分解(FLIP)法と全反射照明(TIRM)法の二目的を両立した蛍光顕微鏡装置を構築、および2)神経細胞の限定領域においてカルシウム蛍光プローブの高S/N検出を行った。 1.FLIPとTIRM光学系の融合 既製の顕微鏡装置を部品を組み合わせて、2つの対物レンズを正立および倒立式で使用可能にした。ケイジド神経伝達物質のFLIPは正立式、TIRM(蛍光信号の検出)は倒立式でそれぞれ独立動作が可能となった。FLIPの主な光学系はLD励起式パルスレーザー、光束径調節部そして集光位置調節部から構築した。レーザー光の集光位置を光軸に沿って移動するために凸レンズ位置をPCで制御して変位可能にした。レンズフォーカス面におけるFLIP領域を光活性化したフルオレセインの蛍光強度分布の解析より求めたところ、1ミクロン程度まで縮小化することができた。一方倒立側におけるTIRM用の光学系は固体レーザー、光軸調整部と高開口数レンズから構築した。緑色(532nm)連続波レーザーを選択し、対物レンズのフォーカス面における直径40ミクロンの範囲で全反射させることに成功した。全反射照明による微弱蛍光を高量子効率CCDカメラで検出したところ蛍光一分子が可視化できた。さらに毎フレーム5msで高速追跡可能なことが確認できた。 2.神経細胞の限定領域におけるカルシウム応答の誘導および検出 神経細胞は新生ラット海馬より初代分散培養した後、緑色励起用カルシウムプローブを導入して細胞内カルシウム濃度の測定に供した。カルシウム応答はケイジドグルタミン酸のFLIPにより誘導した。細胞膜近傍における染色性、蛍光信号の強度や信号速度を検討したところ、カルシウムプローブとしてRhod2AMを選択することが本研究目的に最適であると判断した。TIRMによる蛍光信号を落射式と比べたところ、少なくとも3倍以上のS/Nになることが確認できた。特にこれまで検出困難とされていた樹状突起におけるカルシウム応答を明瞭に検出することが可能になった。誘導するカルシウム信号の強度の調節を検討することにより、チャネルレベルの応答検出が期待できる。
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