2001 Fiscal Year Annual Research Report
高次表象機能獲得の神経科学的基盤-学習機能系の変遷としての学習セット形成-
Project/Area Number |
13780649
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
横山 ちひろ (財)大阪バイオサイエンス研究所, 所長研究部, 研究員 (90264754)
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Keywords | 学習セット / 図形弁別課題 / マカクザル / PET / 下部側頭葉 / 前頭前野 / 問題解決 |
Research Abstract |
本研究は、学習セットと名付けられた高次表象機能獲得能を学習機能系の変遷という視点から神経科学的アプローチにより解明しようとするものである。平成13年度は、まずマカクザルの学習セット形成前後について、PETを用いた脳機能イメージング法により学習セット形成前後の図形弁別課題学習過程の脳機能イメージングを行った。 マカクザル一頭にディスプレー画面に左右どちらかに現れる四角形の位置に対応するレバーをおす単純視覚運動課題を十分訓練させた後、幾何学模様のペアからなる二図形弁別課題に移行し、この課題を試行錯誤によって学習させる。このとき(セット形成前)の二図形弁別課題の学習獲得の過程は100から200試行を要し、反応時間は単純視覚運動課題とほとんど変わらない。課題を解きはじめてから正解率が90%以上に到達しはじめた学習獲得の過程における脳活動部位を、PETを用いた脳機能イメージングにより同定した。その結果、学習獲得の過程では、大脳皮質視覚野以外に体性感覚野、運動野、小脳、大脳基底核などの皮質下運動系神経ネットワークの活動が単純視覚運動課題に比して増大していることが明らかになった。この後、サルに20種類の新規図形弁別課題を経験することにより学習セットを形成させる。このとき(学習セット形成後)の二図形弁別課題の学習獲得の過程は20から40試行を要するだけで素早い学習獲得が実現される。一方、反応時間は単純視覚運動課題に比べて有意に遅かった。セット形成後の学習獲得の過程では体性感覚野、運動野、小脳、大脳基底核などの活動は消失し、大脳皮質視覚野特に下部側頭葉、また前頭前野背外側部などの高次連合皮質の活動が認められた。現在これらの結果の再現性を確認中である。
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