2001 Fiscal Year Annual Research Report
In vivoパッチクランプ法を用いたノルアドレナリン痛覚抑制作用機序の解析
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13780655
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古江 秀昌 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (20304884)
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Keywords | in vivoパッチクランブ / ノルアドレナリン / 痛覚伝達 / C線維 / 下行性抑制系 / 興奮性シンナプス応答 / 侵害刺激 / 脊髄後角 |
Research Abstract |
脊髄痛覚伝達に対する下行性ノルアドレナリン痛覚抑制系の作用機序を明らかにするため、新規に開発したin vivoパッチクランプ法を用いて、生理的感覚刺激によって誘起される興奮性および抑制性シナプス応答に対するノルアドレナリンの抑制作用を解析した。脊髄後角の膠様質細胞から記録を行い、機械的痛み刺激および触刺激を加えると興奮性シナプス後電流(EPSC)の発生頻度と振幅が著明に増加した。一方、多くの膠様質細胞では、触刺激によって抑制性シナプス後電流(IPSC)の発生頻度と振幅が著明に増加したが、機械的痛み刺激には応答しなかった。また、膠様質細胞は熱刺激には全く応答を示さなかったが、深層の後角細胞ではEPSCの発生頻度と振幅が著明に増加した。次に、脊髄表面よりノルアドレナリンを与え、上記シナプス応答に対する抑制作用を調べた。ノルアドレナリンは膠様質細胞に誘起された機械的痛み刺激EPSCの振幅を抑制したが、発生頻度には影響を与えなかった。一方、触刺激誘起のEPSCおよびIPSC、深層の細胞における熱応答に対しては有意な抑制を示さなかった。さらに、脊髄スライス標本を用いて、抑制に関与するノルアドレナリン受容体と入力する一次求心性線維の同定を行った。その結果、ノルアドレナリンはシナプス前性に作用し、痛みを伝えるAδやC線維によって誘起されるEPSCをともに抑制した。これらの抑制はα2受容体アンタゴニストによって拮抗された。 以上の結果から、ノルアドレナリンはAδやC線維の脊髄内終末部に作用し、α2ノルアドレナリン受容体を介して伝達物質の放出量を減少することによって、機械的痛みの伝達を抑制することが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yang K et al.: "Voltage-clamp recordings of postsynaptic currents in substantia gelatinosa neurons in vitro and its applications to assess synaptic transmission"Brain Research Protocols. 7・3. 235-240 (2001)
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[Publications] Lao L-J et al.: "Adenosine inhibits excitatory transmission to substantia gelatinosa neurons of the rat spinal cord through the activation of presynaptic A1 adenosine receptor"Pain. 94. 315-324 (2001)
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[Publications] Luo C et al.: "Nociceptin-induced outward current in substantia gelatinosa neurones of the rat spinal cord"Neuroscience. 108. 323-330 (2001)
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[Publications] Nakatsuka T et al.: "Activation of central terminal VRI receptors and αβmATP-sensitive P2x receptors reveals a converged synaptic activity onto the deep dorsal horn neurons of the spinal cord"Journal of Neuroscience. 22・4. 1228-1237 (2002)
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[Publications] 吉村 恵et al.: "オピオイド治療 課題と新潮流"エルセビア・サイエンス(印刷中). (2002)