2002 Fiscal Year Annual Research Report
構造最適化手法を用いた流れ負荷培養内皮細胞における骨格構造の再構築メカニズム
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13780667
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大橋 俊朗 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30270812)
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Keywords | バイオメカニクス / 血管内皮細胞 / 細胞骨格 / リモデリング / 遺伝子導入技術 / 有限要素法 / 構造最適化 |
Research Abstract |
本研究では流れ負荷培養内皮細胞のアクチンフィラメントが再構築される過程をリアルタイムで観察し,同時に有限要素法解析を行い細胞の力学応答のメカニズムを解明することを目的とする.平成14年度では以下の成果を得た.昨年度用いたGFP-アクチン融合ベクタに加えて,本年度はRFP-FAT融合ベクタを遺伝子導入した.FATとはFocal Adhesion Targetingの略称であり,これにより細胞底面の焦点接着斑の挙動を観察できるため,アクチンフィラメント挙動と併せて内皮細胞の力学応答をより詳細に観察できる.これらの遺伝子を培養ウシ内皮細胞に遺伝子導入し,流れによるせん断応力を5時間にわたって負荷し,共焦点レーザ顕微鏡によりアクチンフィラメントおよび焦点接着斑の挙動を経時的に観察した。その結果,接着斑は流れの方向へ配向し,アクチンフィラメントの収縮に伴い移動する様子が観察された.また,焦点接着斑の間を連結するようにアクチンフィラメントが新たに形成されていく様子も観された.以上のことより,接着斑とアクチンフィラメントの相互関係が流れ負荷内皮細胞の形態変化に深く関与していることが示された.また,細胞骨格構造を模擬した有限要素モデルを構築した.成長の構成則に代表される構造最適化のアルゴリズムを導入して計算を行った結果,実験結果と同様に流れ負荷後,細胞の高さは減少傾向を示し。流れ負荷に伴い流れ方向の骨格構造が発達する傾向が得られた.焦点接着斑を含めたモデル化は今後の課題である.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Ohashi: "Experimental and Numerical Analyses of Local Mechanical Properties Measured by Atomic Force Microscopy for Sheared Endothelial Cells"Bio-Medical Matelials and Engineering. Vol.12,No.3. 319-327 (2002)
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[Publications] 大橋俊朗: "EGFP遺伝子導入技術を利用した流れ負荷内皮細胞骨格構造の実時間挙動観察"第41回日本エム・イー学会大会抄録・論文集. Vol.40 Suppl.. 132 (2002)
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[Publications] 大橋俊朗: "流れ負荷培養内皮細胞の形態と局所力学特性の計測"計測自動制御学会第17回生体・生理工学シンポジウム論文集. 15-18 (2002)
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[Publications] 山本嗣雅: "せん断応力負荷に対する培養内皮細胞の焦点接着斑の経時変化観察"日本機械学会第15回バイオエンジニアリング講演会論文集. No.02-35. 217-218 (2003)
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[Publications] T.Ohashi: "Dynamic Behavior of Actin Filaments in Cultured Endothelial Cells During Exposure to Shear Stress"IV World Congress Biomechanics Proceedings CD. (2002)
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[Publications] T.Ohashi: "Structural Optimization Analysis of Endothelial Cell Remodeling to Fluid Flow"Final Program and Abstract Book of EMBS 2002 BMES. 151 (2002)