2002 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷者の簡易型FES下肢運動負荷装置の開発とその有効性
Project/Area Number |
13780689
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Research Institution | Siebold University of Nagasaki |
Principal Investigator |
村木 里志 県立長崎シーボルト大学, 看護栄養学部, 講師 (70300473)
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Keywords | 脊髄損傷 / FES / 麻痺筋 |
Research Abstract |
脊髄損傷により下肢が麻痺すると、車椅子生活になり上肢だけに頼る生活となるため運動不足となりやすい。そのため、最近麻痺している下肢を他動的にもしくは経皮的電気刺激(FES)によって運動させ、運動量を増加させる試みが行われている。本研究では、そのなかでも特に脊髄損傷者が家庭で簡単に実践できるFES下肢運動負荷プログラムの開発を試みた。 前年度の成果や、また並行して研究してきた脊髄損傷者の下肢他動運動やFES下肢運動の予備実験をもとに、FES下肢運動プログラムを作成した。このプログラムは(A)大腿前部とハムストリング筋の交互、(b)下腿前脛骨筋と下腿三頭筋の交互の二通りからなり、両者とも膝もしくは足関節角度約90度の状態から、左右脚同時に電気刺激を行う。両プログラムとも刺激パルス時間はそれぞれ3秒(パルス幅300μsec、周波数30Hz)と設定した。尚、本プログラムは家庭用医療器具である低周波治療器でも実施可能であり、家庭でも実践できる利点がある。 本プログラムの有効性を確かめるため、T12の完全損傷の脊髄損傷者男性1名(39歳)に上記のプログラムを約3ヶ月間週に3〜6回の頻度でトレーニングさせた。1回のFES運動は約15分のプログラム(A)および(B)それぞれ2もしくは3セットとした。トレーニング前後で、脚周径囲、MRによる下肢の各筋横断面積、プログラム中のエネルギー消費量、各種循環応答等を測定した。その結果、下肢の周径囲は左右とも下腿部で15mm、大腿部で10mmの増加を認めた。また、プログラムのエネルギー消費はトレーニング開始時より増加し、トレーニング終了後は最大480ml/分にも及び、安静時の約2倍となった。このように本プログラム導入期は大きな運動量を得ることはできないが、回数を重ねることにより筋が活性化し、エネルギー消費を高めることが期待できた。以上のことから、本プログラムは脊髄損傷者の運動量の増加に有効であることが示唆された。 尚、本研究は県立長崎シーボルト大学研究倫理委員会によって承認されている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 村木里志, 綱分憲明, 田原靖昭, 山崎昌廣: "Passive cyclingのペダル回転数が呼吸循環応答に及ぼす影響"体力科学. 50巻6号. 801 (2001)
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[Publications] 村木里志, 綱分憲明, 山崎昌廣: "脊髄損傷者における麻痺部下肢他動運動の動作様式および頻度が呼吸循環応答に及ぼす影響"体力科学. 50巻6号(印刷中). (2002)