2001 Fiscal Year Annual Research Report
化学反応波が励起するラセン状対流波の階層的自己組織化構造の解明
Project/Area Number |
13831009
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
三池 秀敏 山口大学, 工学部, 教授 (10107732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 智彦 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員グループリーダー
横山 悦郎 山口大学, 工学部, 助教授 (40212302)
羽野 光夫 山口大学, 工学部, 助教授 (70108265)
野村 厚志 山口大学, 教育学部, 助教授 (40264973)
雨宮 隆 産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員
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Keywords | 反応拡散対流系 / BZ反応 / ラセン状化学反応波 / ラセン対流波 / マランゴーニ対流 / 表面張力 / 階層構造 / 自己組織化 |
Research Abstract |
反応拡散系の代表的な実験システムとして有名な、Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応に伴い自己組織化的に形成される対流波のパターンダイナミックスとその階層性に関する研究を行った。この反応に伴う対流波の存在は、1995年にドイツのグループ(S.C.Muller et al.)によって見出された。この時の対流波はラセン状の化学反応波の周辺領域からラセンの核に向かうものであった。また、対流波に関連する振動的な流れの存在は、報告者がドイツ・マックスプランク研究所滞在中(博士研究員:1987)に見出している。10年以上、この現象の解明に取り組んでいるが、現象が反応・拡散と対流を伴うことからメカニズムの本質は解明されていない。2000年に報告者のグループでラセン状化学反応波の核付近から外向きに伝播する対流波の存在が明らかとなった。従来の対流波は内向きのみで、反応容器のサイズに比例してその波長と伝播速度が変化した(周期一定)。外向きの対流波(標的状)は固有の波長を持ち、ラセン状の対流波へと時間発展した。本研究では、この対流波の内向き、外向きの現れる原因はもちろん、対流波自身のメカニズムを解明することを目的としている。本年度は、対流波の発生に影響すると考えられる、触媒であるフェロインと反応の基質であるマロン酸(ブロムマロン酸)の濃度をシステマティックに変化させ、タイプの異なる対流波が発生する濃度領域を明確にする実験を行った。その結果、一定のマロン酸濃度領域で外向きのラセン状対流波が発生する事が見出された。また、数値シミュレーションによって、波長の長いロール状の対流波が発生しうる条件を探査した。その結果、反応の進行に伴ったブロムマロン酸の蓄積によって、反応の時間経過に伴って表面張力が低下する効果を取り入れる事が重要である事が確認された。この効果は、BZ反応での加速的伝播を示すBig Waveを説明するメカニズムとしても注目されている。これらの研究成果は、2001年10月ドイツ・ギッセンでの国際会議(First Conference of the International Marangoni Association)で報告し、現在投稿論文として纏めている。また、この研究に関連し対流波の発生に伴う界面のわずかな変形(約1μ前後)を計測するためにフィゾー干渉計で計測した干渉縞の動画像を解析する必要がある。この解析技術に関連する動画像処理手法の研究論文報告を行っている。干渉計を用いた実験から、ラセン状対流波に付随して界面の変形が同期してラセン状に回転している事も確認している。現在投稿論文準備中である。
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Hitoshi Mahara: "Firing and subthreshold responses of the photo-sensitive Belousov-Zhabotinsky reaction to sinusoidal stimuli"Proceedings of the 4th International Conference on Biological Physics. ICBP F235. 87 (2001)
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[Publications] Hidetoshi Miike: "Chemically driven convection : instability, spatiotemporal structure and Hierarchy"Proceedings of the First Conference of the International Marangoni Association. 35-36 (2001)
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[Publications] 塚本壮輔: "階層化位相シフト法による高性能レンジファインダの実現"画像電子学会論文誌. 30. 388-396 (2001)
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[Publications] Hidetoshi Miike: "Simultaneous Evaluation of Microscopic Defects and Macroscopic 3-D Shape of Planer Object"IEICE TRANS. INF. & SYST(電子情報通信学会欧文誌). E・84・D. 1435-1442 (2001)
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[Publications] Tatsunari Sakurai: "Rotating waves of Marangoni convection appeared in Belousov-Zhabotinsky reaction under excitation of chemical wave trains"Proceedings of the First Conference of the International Marangoni Association. 37 (2001)
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[Publications] Takashi Amemiya: "Experimental and Model Studies of Oscillations, Photoinduced Transitions, and Steady States in RuCatalyzed BZ Reaction"The Journal of Physical Chemistry. 106. 612-620 (2002)
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[Publications] 雨宮隆: "ダイナミックなバイオミメティクス"化学工業. 53. 18-23 (2002)
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[Publications] 山口智彦: "自己組織化再考-自己集合と散逸構造の統合的な理解へ向けて-"化学と工業. 54. 1363-1367 (2001)
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[Publications] P.parmananda: "Resonance Induced Pacemakers : A New Class of Organizing Centers for Wave Propagation in Excitable Media"Physical Review Letters. 87. 1363-1367 (2001)
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[Publications] 羽野光夫: "3次元有限要素法電磁界解析における新しい基底関数の提案"電子情報通信学会誌C. J84-C. 898-899 (2001)
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[Publications] 羽野光夫: "有限要素法による3次元電磁界解析のための高次ベクトル要素と大次元固有値問題におけるサブスペース法"電子情報通信学会誌C. J84-C. 936-943 (2001)
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[Publications] Norihiko Harada: "Triangle-Hexagonal Dual Cell Grids Representation of PML Absorbing Boundary Conditions"IEICE Transactions on Electronics. E85-C. 219-224 (2002)