2002 Fiscal Year Annual Research Report
インターネット情報流の輻輳における臨界ゆらぎと複雑系制御方法の開発
Project/Area Number |
13831010
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
高安 美佐子 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 助教授 (20296776)
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Keywords | インターネット / 情報流 / 相転移 / 1/fゆらぎ / TCP/IP / 渋滞制御 / 臨界点 / 転送効率 |
Research Abstract |
研究計画にしたがってインターネット情報流における渋滞・非渋滞の相転移現象とその臨界点における特性を、数値シミュレーションによって詳しく調べた。 想定したのは中央に1つのルータがあり、そこから3つのルータが接続されているようなミニマルなネットワークモデルであり、現実に実装されているTCPのシミュレーションをNSシミュレータによって実行した。3つのルータからランダムに選んだペアの間で100個のパケットを送受信することをひとつのコネクションとし、コネクションの発生頻度を高くしていって、渋滞の発生を観測する。理論的に期待されるように、あるコネクション密度になるまでは、ほとんど渋滞は発生せず、そのしきい値まで密度が高くなると、急に渋滞が発生する。 渋滞状態におけるパケット損失、および、再送の様子を観測し、データパケットと受信確認パケットの振る舞いを調べた。その結果、渋滞になるとデータパケットの再送の割合が急増するが、実際にはデータパケットは送信できているにもかかわらず、TCPの特性により、受信確認パケットが損失したためにデータパケットを重複して送信している場合がかなりの頻度起こっていることを発見した。 この発見に基づき受信確認パケットの損失があってもデータパケットを重複して送信しないようにTCPの改良を考えた。改良したTCPの動作をシミュレーションによって確認した。その結果、この改良により、渋滞の発生が始まるコネクション頻度は2割程度高くなり、また、渋滞時における輸送効率も最大2倍程度まで高めることができることがわかった。 今回の新しい渋滞制御方法の発見は、既存のインターネットプロトコルの弱点であるひどい渋滞状態を制御する方法として特記すべきものであり、本研究全体で目標としていた効率的な情報転送アルゴリズムの開発の具体的な成果である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Misako Takayasu, Hideki Takayasu: "Self-modulation processes and resulting generic 1/f fluctuations"Physica A. (掲載予定). (2003)
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[Publications] T.Mizuno, S.Kurihara, M.Takayasu, H.Takayasu: "Analysis of high-resolution foreign exchange data of USD-JPY for 13 years"Physica A. (掲載予定). (2003)
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[Publications] T.Mizuno, M.Takayasu, H.Takayasu: "The mechanism of double exponential growth in hyper-inflation"Physica A. 308. 402-410 (2002)
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[Publications] Toru Ohira, Naoya Sazuka, Kouhei Marumo, Tokiko Shimizu, Misako Takayasu, Hideki Takayasu: "Predictability of currency market exchange"Physica A. 309. 368-374 (2002)
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[Publications] Kensuke Fukuda, Misako Takayasu, Hideki Takayasu: "Analysis of minimal model of Internet Traffic"Traffic and Granular Flow' 01. (掲載予定). (2003)
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[Publications] 高安美佐子: "取引数のゆらぎと心理時間"数理科学. 10月号. 33-37 (2002)