2003 Fiscal Year Annual Research Report
新たな時空間解析法を用いた視覚皮質の周期発火現象の解析
Project/Area Number |
13831011
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
伊藤 浩之 京都産業大学, 工学部, 教授 (80201929)
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Keywords | unitary event / 同期振動発火 / スパイク相関 / 外側膝状体 / 視覚皮質 / ユニタリーイベント / テトロード / 相関発火 |
Research Abstract |
昨年までは、Grayとの共同研究で得られた多細胞データの解析を行ってきたが、本年度からは自らの研究室でも麻酔下ネコの視覚皮質および外側膝状体(LGN)からデータを記録し、解析することが可能となった。今回の実験では脳活動の抑制が低いフェンタネスト麻酔を用いた。この麻酔下でも、LGNでの高周波数帯(100Hz)での振動的発火、皮質での低周波数帯(40Hz)での振動的発火および皮質表面上4mm離れた細胞間の同期を観測した。これらの現象が麻酔の種類などによらず普遍的に存在することの確認として、今後の研究につながる成果であると考える。 得られた多細胞データに昨年までの研究で特性を検討したUnitary Event (UE) Analysisを適用した。皮質細胞の最適刺激であるdrifting gratingは刺激自体が短い時間スケールの変動を持つため、同期発火の非定常性解析では、刺激の変動と相関自体のintrinsicな変動との分離が難しいことが判明した。より単純な時間構造のmoving barでの刺激を使用すべきと考える。また、LGNと比べると、皮質での同期発火の強度は弱く、LGNでのUE Analysisで用いた95%の有意水準は厳しすぎる恐れがあり、検討が必要である。 皮質およびLGNの双方に複数のtetrode電極を刺入し、大規模な多細胞同時記録を計画したが、複数の電極刺入に不可欠な機器の故障・修理のため実現できなかった。そこで、実験では皮質に2本の電極を刺入し、LGNには一本の電極のみを刺入し、LGNと皮質から受容野が重なった細胞活動の記録を行ったが、領野間での活動に有意なスパイク相関が得られたケースは非常に少なかった。皮質細胞がLGN細胞からの直接入力を受けていない可能性が考えられ、リバースコリレーション法による、高い空間分解能での受容野マッピングが必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 伊藤浩之: "脳内の同期活動と認知情報処理"Brain Medical. vol.15,No.2. 37-44 (2003)
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[Publications] A.Hirata, P.Maldonado, C.Gray, H.Ito: "Unitary Event Analysis of Synchronous Activities in Cat LGN"The Neural Basis of Early Vison, (Springer-Verlag, Tokyo). 190-193 (2003)